付箋って便利ですけど、持ち運びしにくいと思ったことはありませんか。
紙の束は意外と分厚く、かさばるものです。また鞄やポーチ、ペンケースの中で折れてしまったりばらばらになってしまったり。
そんなときは紙の付箋ではなく、フィルム付箋も選択肢に入れてみて下さい。フィルム付箋は紙の付箋に較べ割高にはなりますが、薄く小型にできますので、持ち運びには便利です。
ただ、サイズ違いをいくつか持ち歩こうとすると、なかなか面倒ですよね。「ちょっとインデックス程度にちいさく貼りたい」ときと「大きな付箋にたっぷり文字を書きたい」とき──そんな両極にあるニーズに応えることのできる、かわいくまとまった製品があります。
カンミ堂の「リトロ」は、ペンのように細長い筒状の、コンパクトなフィルム付箋です。
本体サイズは104ミリ×15.6ミリ。ショートサイズの万年筆くらいの長さと太さです。表面をわずかにスモークがかった透明のスリーブに覆われていて、このスリーブによって、持ち運んでいる際にはフィルム付箋が保護されています。
使用する際には、スリーブを前後にスライドさせます。リトロには2色のフィルム付箋が内蔵されていますので、使いたい側を開けるようにスライドしたら、引き抜かずに途中でスリーブを止めましょう。特にクリック感などはないのですが、本体の長さが1.5倍になる分握りやすく、その後のふせん繰り出しとカットの作業がやりやすくなります。
フィルム付箋は本体にぴったり貼りついていますので、爪先などで軽く剥がして持ち上げます。本体内部には、樹脂筒に巻かれたフィルム付箋が入っています。片手で剥がしたフィルム付箋を持ち、反対の手で本体を持って軽く引き出してください。フィルム付箋は12ミリごとにマイクロミシン目が入っており、引き出す際にはそのミシン目ごとに軽い抵抗感があります。1枚だけ細く使いたいときは、最初の1枚が出た段階で止めます。長く大きく使いたいときは、必要なだけ引っ張り出してください。
この際、注意点があります。必ず本体に1枚分を貼りつけてから、軽くひねってミシン目を切り離すようにして下さい。そうしないと、付箋を引き出すための持ち手の部分がなくなってしまい、本体内の付箋を次から取り出せなくなってしまうからです。
リトロに使用されているフィルム付箋は「センターのり」仕様で、1枚を細長く使用した場合、中央の7割に粘着剤が塗布されています。両端には粘着剤がついていませんので、ノートや本などに貼った際、付箋の端を出しておきたい時に重宝します。
実は、このロール式フィルム付箋はリトロが初めてではありません。カンミ堂では、過去に同じロールカートリッジを使用した円筒形の製品を2つ上梓しています。
ひとつは、ロールカートリッジを3本装備した、スティック型の「ペントネ」。もうひとつは、ロールカートリッジを1本内蔵した、リップクリーム型の「リップノ」です。
ペントネは全長が140ミリあり、一般的なペンとほぼ同サイズの製品です。ペンケースにするりと入るスリムな製品ですが、一枚出ている付箋部分にカバーがなく、ペンケース内で汚れてしまう可能性のある製品でした。
リップノは全長67.5ミリのまさにリップクリームデザインで、保護カバーを抜いて付箋を取り出します。携帯性には優れるのですが、ロールは1本しか収納できませんし、小さいので付箋をカットする作業に持ちにくいと感じる方もいらっしゃったかもしれません。
リトロはこの2製品の弱点をカバーした製品と言えます。ロールは2本になりましたがカバーがあって未使用の付箋を保護できますし、カバーをスライド式にしたことでカット時に本体が持ちやすく、より安定して使用することができるようになりました。
市販されているリトロの付箋バリエーションは6種類。ボタニカル、グレイッシュ、ドリーミー、フルーティー、ヌーディー、マニッシュと名づけられた製品はいずれもいま流行のニュアンスカラーをもったフィルム付箋で、派手な色ではありませんが付箋としての機能に支障はありません。わたしはイエロー系とブルー系の付箋を好んで使用するのですが、リトロではマニッシュの組み合わせが気に入っています。
フィルム付箋は筆記具を選ぶ傾向にあるのですが、カンミ堂のフィルム付箋は油性マーカーだけでなく油性ボールペンや鉛筆での筆記が可能です。中でも鉛筆との相性が抜群で、書いていて本当に気持ちがいいので、みなさまも一度お試しいただきたいと思います。お洒落に、かつコンパクトに付箋を持ち歩きたい方にお薦めします。
(他故壁氏)