「まだ穀物食べてるの!?」「まだ肉なんか食べてるの?」広く浅く浸透する罪深きフードファディズム

文=山田ノジル
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 また、グルテンフリーを始めとするトレンド食はどんな経緯で支持されるようになったのか? といった経緯を知るだけでなく「現代的なものは不自然で危険と主張する」「個人的な改宗の物語から始まるのが定番」など、「こんなトークに出会ったら要注意!」的なポイントにも言及されています。これは食だけでなく、婦人科系や育児系界隈の謎物件でもよく耳にするヤツですので、トンデモへのワクチン効果も抜群に高そう。

 さらにこういった食事法の効果効能は「科学的根拠がない」だけでなく、適切な医療から遠ざけてしまうこと、「この食べ物が体に悪い」という情報が発信されることで「ノジーボ効果」というプラセボの逆が生まれる問題にも斬りこまれています。

 コーラを飲んだ子供たちが体調不良を訴えた「コカ・コーラ事件(1999年)」や科学調味料恐怖症騒動など、情報が心理的に悪影響を及ぼした実際の事件を知ると、信者以外の人々までもが巻き込まれている害が、より鮮明に見えてきます。

 私自身もこれまでのライター業の中で「朝バナナダイエット」だのを書いてきたクチですので、自戒の念をこめ、10回は読み返したい本でありました。今こそ食事で免疫力をアップ! とか発信している同業の皆様も、ぜひ手にとってみてはいかがでしょう。善意のビリーバーにお困りの皆様たちにおきましては、「本当の魔物は食物ではなく、空想の作り話のほうなのです」という著者の力強い言葉が、何よりの励みになりそうです。

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