文具界に革新を起こした超人気ボールペンの3色モデル「ジェットストリームエッジ3」を徹底解剖!

文=他故壁氏
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 2019年、歴史に残るボールペンが発売されました。

 ジェットストリームエッジ。油性ボールペンの限界に挑んだ超極細0.28ミリボールを搭載した、世界で最も細い線が書けるボールペンです。

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ボールペン界の王者・ジェットストリーム ジェットストリーム、と呼ばれるボールペンをご存知でしょうか。 2006年に登場し、今までの油性ボールペンの弱…

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文具界に革新を起こした超人気ボールペンの3色モデル「ジェットストリームエッジ3」を徹底解剖!の画像2 ウェジー 2020.02.08

 あれから1年足らず──ジェットストリームエッジが更なる進化を遂げて登場しました。

 その名も、ジェットストリームエッジ3。そう、0.28ミリの3色ボールペンです。

 単色エッジは独特のボディで存在をアピールしましたが、エッジ3もいくつかの特徴的な機能やデザインを持っています。

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 単色エッジと並べてみると判りますが、グリップの縦溝やクリップのワイヤーなど、エッジシリーズと呼ぶにふさわしいデザイン上の共通点もあります。

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 入っているリフィルは単色のものと同じ、SXR-203-28リフィルです。ポイントチップと呼ばれる、先端がきゅっと細くくびれた特殊形状のペン先を持ち、ボールが紙面のどこに当たってるかを視認しやすくなっています。

 このポイントチップ、今までのコーンチップ(一般的なボールペンの先って三角コーンのようになっていますよね)に較べ筆記角度がシビアで、単色エッジも筆圧を掛けず立てぎみで書くことでその真価を発揮できるようなボディ設計になっていました。エッジ3ではこのポイントチップ搭載の0.28芯を使うにあたり、それ以上の大胆な設計を施してきました。

 それが「ポイントノーズ」と「スピロテック機構」です。

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 通常の多色ボールペンはボディの直径に対しセンターにペン先が来るよう口金に穴が空いているのですが、エッジ3はこれが極端にクリップ側に寄っています。横から見ると、ずいぶん偏っているのが判りますよね。

 なぜこのような偏った位置にペン先が来るかと言いますと、今までの多色ボールペンの構造と0.28ミリボールを搭載したポイントチップリフィルに相性の悪さがあったからです。

 多色ボールペンは芯を繰り出す際、書きたいペン先をボディから外に押し出します。その時、ボディ内にあるリフィルはまっすぐ押し出されるのではなく、必ず口金内部に当たって反った状態で押し出されます。

 3色ボールペンを例に出します。3つあるリフィルがペン内部で三角形に配置されているので、押し出されたリフィルは出口を求めてペンの中心に向かって必ず湾曲し、出てきたペン先は押された方向に傾いています。三角形の頂点のうち、例えばクリップ側にあったリフィルのペン先は、僅かに下を向いていることになります。

 この筆記者にとっては意図せぬ角度が、ポイントチップと0.28ミリボールのような繊細な設計のペン先に対し悪影響を与え、書き心地や線のかすれなどを生み出します。0.28ミリボールは極端に小さく、紙に対して斜めに当たってしまうとボールではなくボールを包むチップ部分が紙に当たってしまい、充分なインクを吐出できなくなってしまうのです。

 エッジ3はそのため、ペン先の傾きを極力防ぐ必要がありました。ペン先の出口をリフィルが曲がらない位置──ペンの中心からずれた、ペン体内部で三角形に配置されたリフィルの「クリップ側の頂点」から真っ直ぐの位置に変更したのです。

 これは回転式にしか実現できない方法でした。色分けされたノックノブでリフィルを押すタイプは、三角形の頂点からリフィルをそれぞれ真っ直ぐに押し出されますから、偏った穴がひとつでは対応できません。振り子式と呼ばれる「絵が書いてある側を上に向けてノックする」タイプでも、押し出されるリフィルは必ず絵の反対側に位置しているため、同様に偏った穴に対応できるリフィルはひとつに限られてしまいます。

 回転式多色ボールペンの多くは、内部回転するとクリップ側のリフィルが前に出ます。ただし、ほとんどの回転式ボールペンは口金を含む胴軸を回転させることで繰り出しアクションを行っていました。この方法では、偏った口金を持たせたとしても、胴軸が回転してしまうので口金の穴をクリップ方向に固定させることができません。

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 そこでエッジ3は、胴軸を回転させず、後端にダイヤルをもうけました。

 この偏った口金を「ポイントノーズ」、後端にダイヤルを儲けた回転方式を「スピロテック機構」と言います。

 後端のダイヤルにはカラーインジケータがあります。ここに合わせ回転させると、黒、赤、青のリフィルを切り替えことができます。黒のペン先は無塗装ですが、赤と青のペン先にはそれぞれの色塗装が成されているので、インジケータを見ずともカラーの確認は可能です。ダイヤルはペン芯が出るとクリックで教えてくれますが、無限回転ですのでどこまでも回っていきます。赤や青で止まって欲しい、と思われる方はご注意ください。

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 クリップはワイヤー製で、やや硬めにできています。ハードカバーの手帳表紙なども容易に挟んで留めることができます。単色エッジのときにあった基部のでっぱりがなくなりましたので、かなり奥まで物が挟めるようになりました。

 見た目よりもリアヘビーな作りになっており、重心は必ずしも先端寄りではありません。これは繊細なポイントチップ+0.28ミリボールに不用意な筆圧をかけないようにする配慮ではないでしょうか。単色エッジにもあったグリップの縦溝は、滑り止めというよりは同様に無駄な力を逃がすためのものでしょう。

 実際に書いてみたところ、やはり本製品は筆圧を極力掛けずに書くペンであると実感します。

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 繊細な線を細かに書くために、本製品は可能な限り立たせて持って欲しいので、60度という角度を意識して握ってください。

 ジェットストリームという油性ボールペンは低粘度油性インクを使用し、どこまでも滑っていくイメージがありますが、0.28ミリはそこまでつるつるした印象はありません。筆圧を掛けなくても必要充分な滑らかさで、楽に書くことができます。

 またポイントノーズの偏りは、握り方によってはその落ちくぼんだ角に中指が係ってしまう可能性もあります。わたしはロゴを上に向け、ポイントノーズが右に向くような位置で握るとしっくりきました。

 いずれにしましても、0.28ミリという超極細油性ボールペンを3色1本で持つことの喜びは他に代えがたいものがあります。2,500円(税抜)という高級筆記具の価格帯ではありますが、単色エッジ(1,000円・税抜)を3本持つよりはお得です。超極細の世界に興味がある方は、是非一度お試し下さい。

(他故壁氏)

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