
DHC会社ホームページより
DHCから在日韓国・朝鮮人に対する差別的な表現で攻撃されているサントリーが、「人権尊重の重要性」を強調するコメントを出している。
まず、事の経緯を振り返ろう。DHCはオンラインショップのサイト上に「ヤケクソくじ」というサービスを告知する文章を掲載。それは吉田嘉明会長がしたためたもので、吉田会長はサプリの売上金額でDHCを上回るライバル企業・サントリー(ウエルネス)を差別的な表現を用いて攻撃した。
<サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです。DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本企業です。まもなく創業50周年を迎えようとしている老舗の会社です。今、雨後の筍のように出てきた幾多数多の同業者とも一線を画しています>
サイトへの掲載は2020年11月だったが、12月16日ごろからTwitterを中心に拡散し、問題意識が高まっている。「#差別企業DHCの商品は買いません」というハッシュタグも広まり、朝鮮日報やAFP通信などの海外メディアもこの話題を取り上げ始めた。
しかしDHC側はレイシズムを撒き散らしたこの文章を放置しており、12月17日11時現在でも「ヤケクソくじ」のページはそのままだ。
サントリー広報部は<他社のホームページに書かれている内容についてコメントすることは差し控えます>とDHCの名前を直接出すことは避けながらも、特定のアイデンティティをもつ人々を堂々と差別するDHC会長とは完全に真逆の立場をとると宣言した(2020年12月16日付朝日新聞デジタル)。
<サントリーは人権方針を定めており、社会の一員として、人権尊重の重要性を認識しています>
DHCは差別扇動を繰り返してきた
DHCによるあからさまな差別が問題となったのは今回が初めてではない。DHCの子会社・DHCテレビジョンが製作している『真相深入り!虎ノ門ニュース』や『ニュース女子』といった番組では、韓国をはじめとしたアジア諸国の人々への差別的な表現がカジュアルに行われている。
『ニュース女子』はTOKYO MXなどの放送枠を購入して地上波でも放送されていたが、2017年に放送された沖縄米軍基地建設工事反対デモを特集した回の「反対派は日当をもらっている」「反対派の中に中国人や韓国人がいる」といった内容に「事実関係が間違っている」「沖縄に対する誤解や偏見を煽っている」といった批判が殺到。BPO(放送倫理・番組向上機構)は「重大な放送倫理違反があった」と結論づけた。
しかし、DHCテレビジョンはそれ以降も番組製作の方針を変えなかった。2019年には『真相深入り!虎ノ門ニュース』における、「平和の少女像」を侮辱する発言など差別的内容が韓国国内で問題視され、Twitter上では「#さよならDHC」というハッシュタグが拡散。DHCの韓国法人は謝罪している。
化粧品・健康食品の通販事業で業界上位のDHCは、アメリカ、イギリス、台湾、韓国、中国など海外展開もしている。グローバル企業であるにもかかわらず、会長の個人的な、かつ差別的な政治主張を垂れ流しているのだ。
この問題を少なくとも日本のテレビではニュースとしてほとんど扱わない。DHCは民放各局でテレビCMを打っている大口のスポンサーである。しかしDHC会長が発する暴力的なメッセージは、社会が決して許容してはならないものだ。企業としてのDHC側の対応はもちろん、地上波テレビ局の姿勢も問われている。