「大人のための筆記具」シリーズ最新作「クラフトラボ005」、未来的デザインに隠された謎とは

文=他故壁氏
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 最近はボールペンも油性とは限りませんよね。特にゲルインキボールペンは比較的安価でカラーバリエーションが多い戦略商品として進化していき、若年層──主に中高生がメインで使う筆記具に成長しました。

 ただ、客先での商談で安心感を持たせる、スーツに似合うといった重厚感のある高級筆記具に、ゲルインキを搭載した大人向けのボールペンが少ないのもまた事実です。

 サクラクレパスは、そこに「ビジネスシーンで活躍できる」高価格ラインのゲルインキボールペンを投入しました。それが2017年より開始された「SAKURA craft_Lab(サクラクラフトラボ)」シリーズです。

 2017年に発表になったクラフトラボ001は真鍮のグリップを持ち、天冠にカメラのダイヤルをイメージした回転ノブを装備する重量感ある渋めのデザインでした。同時発売されたクラフトラボ002は、「おとなのクーピーペンシル」という二つ名を持ったストレートデザインのペンで、10色のカラフルなボディを用意しました。

 続いて2018年には、全身真鍮の無垢で作られた重量級ボディをラインナップに持つ、ショートタイプのクラフトラボ003が。2019年にはシリーズ初の多機能ボールペン、クラフトラボ004が登場しました。0.5ミリのシャープユニットと黒赤のゲルインキで、デザインは001に回帰しました。

 シリーズに共通するモチーフは、天冠やボディに刻まれた桜の花弁。今までのクラフトラボは、真鍮を使用し重さとアンティークさを持たせ、ビジネスシーン=伝統的で落ち着いた書斎やオフィス、というイメージが強く発信されていました。例外は002ですが、それもボディの素材は真鍮にアクリルを巻いたもので、アクリルから透けて見える金属光沢を重視したメタリックなデザインでした。

 ところが、2020年に登場したクラフトラボ005は、明らかに過去の流れとは一線を画すものになりました。

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 過去のシリーズが基本的に直線で構成されたボディだったのに対し、005はなだらかな曲線が特徴的です。ボディに掘られた溝もまるで手作業で作られたような繊細で優雅もので、持つ人に新しさと優しさを感じさせるデザインです。

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 過去のシリーズで重視されていた真鍮は、本製品ではその存在を外観から伺うことができません。ボディ内部における先端方向へのウェイトとして装着された真鍮はついにユーザーの目から見えなくなり、アンティーク表現から離れた005は一気に未来に向かうデザインに昇華しました。

 過去のデザインで必ず装備されていた金属製の回転ノブもなくなりました。ではクラフトラボシリーズを貫いていたアイコンである桜はどこに行ったのでしょう。

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 実は005は、ボディデザインじたいに桜の花弁が施されています。ペン先方向に施された凹ラインとはまた異なる絞り方で後端も絞られ、その天冠には桜の形が現れているのです。この凹ラインはただ美しいだけでなく、ペン先を回転で繰り出す際に絶妙な指掛かりを与えてくれます。

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 また、別売りのクリップを着けない限り、クラフトラボ005は表面上メタルパーツが露出していないことになります。クリップはシルバーとコッパーの2色がありますので、お好みに合わせ選択が可能です。

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 本製品は、ゲルインキボールペンとしてもたいへん優秀です。ペン先側にウェイトが入っているので、握った際に自然にペン先に重さがかかります。なのでグリップを強く握る必要がなく、ペンの自重だけですらすらと書けます。グリップに施された縦溝も見た目に反して滑ることなく、樹脂の表面加工によって絶妙なフィット感を得ることができます。

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 内蔵芯はセピアブラックです。真っ黒ではなく、心持ち赤茶寄りの深みある色合いで、このペンによく合います。005は専用芯ですが、替芯としてブラックとブルーブラックも用意されていますので、お好みで色を変えて使用することもできます。

 芯の交換は、中央からボディを回転させずまっすぐ抜くことで行います。ローレット(回転のために滑り止め)がかかっている部分を持って回すと、後方ユニットとともに芯が抜けます。

 過去のクラフトラボが金属を中心としたアンティーク感を醸し出していたのに対し、005はまったく新しいアプローチで新時代を描いているように感じます。ボディカラーによっては男女問わず身につけることができますので、ゲルインキボールペンで高級筆記具を1本試してみたい、あるいは贈り物を探しているといった方にぜひお薦めしたい製品です。

(他故壁氏)

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