
TWICE公式Twitterより
TWICEが12月18日、最新曲「CRY FOR ME」をリリースした。12月6日に韓国で開催された音楽授賞式『Mnet Asian Music Awards(MAMA)2020』にて初披露されたこの「CRY FOR ME」は、公式YouTubeチャンネル内において『MAMA 2020』全体のパフォーマンス映像の中で最多再生回数を記録している。
同楽曲が大きな話題を呼んだのは、TWICEのプロデューサー・J.Y.Parkと韓国内外から絶大な人気を集めるシンガーソングライター・Heizeによって手がけられた歌詞が生み出す世界観、そしてそれをステージ上で表すメンバーの姿が視聴者の心にインパクトを残すものであったからであろう。
この「CRY FOR ME」について、TWICEのリーダー・ジヒョがこんな印象的なコメントを語っていた。
「(この曲は)個人的に「TT」の成熟したバージョンだと思うんです」(『MAMA2020』BEHIND NEW-TACTインタビューシーンより)
「TT」と言えば2016年に発表されたTWICEの代表曲の一つ。ファンのみならず多くの人々から広く知られており、振り付けの“TTダンス”は彼女たちの代名詞として用いられる、TWICEのパブリックイメージを物語る楽曲である。それと、最新曲「CRY FOR ME」に繋がりと発展性があるというのは興味深い視点である。では、これら二曲の比較からどんなメッセージが立ち上がってくるだろうか。
まず「TT」の曲中には〈もうすっかり大人になったと思うんだけど/どうして自分の心なのに私の思い通りに出来ないの〉〈I’m like TT Just like TT/こんな私の気持ちも知らないでひどい〉というフレーズが、泣き顔の顔文字を模したキャッチーで可愛らしい“TTダンス”を笑顔で踊る彼女たちによって歌われる。
対して最新曲「CRY FOR ME」では、「TT」と同様に涙を流す仕草が振り付けに織り込まれていながら、真っ直ぐに前を見据えた鬼気迫る表情で〈I want you to cry,cry for me/私が泣いたように Cry for me〉と歌う彼女たちの姿が見られる。
意中の相手に思いを告げることが出来ず、心のディスプレイに映し出される“顔文字”として涙を流すことである種の単純化された感情を表していたのが「TT」とするならば、それから4年後の彼女たちが「CRY FOR ME」で表すのは泣かされる身としての“私”から、私が泣いたように泣いてほしいと願う身としての“私”へといった立場の転換、自分が感じた痛みを愛する相手にも与えたいという複雑な感情をもった主体への変移である。
そして二曲間に横たわるこの変化こそが、ジヒョの語る作品の成熟性を表すものであるとともに、TWICEというグループが遂げる変革をも描き出し、観る者の心を動かすのではないかとさえ感じるのである。
「TT」と「CRY FOR ME」が映し出すグループの変革は、今年TWICEが発表した他作品にも見てとれるものだ。
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