『鬼滅の刃』新作アニメ続編、実写化も展開へ? ファンが「今までの制作陣で」と強く望むわけ

文=田口るい
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  正月も勢いの止まらない、映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』。公開初日から12月27日までに興行収入324億7,889万5,850円を記録し、ついに日本の歴代興行収入の史上最高額を更新した。同作品のとどまるところを知らない人気に、アニメ版の続編を熱望する声も大きい。

 アニメ版『鬼滅の刃』は、「竈門炭治郎 立志編」として単行本7巻の途中までが描かれており、2019年9月に最終回を迎えている。その続きとなるのが劇場版『無限列車編』で、単行本7巻から8巻の内容に沿ったストーリー。単行本23巻のうち、残っている巻のストーリーをアニメ化してほしいというのは、ファンのみならず鬼滅バブルの恩恵を受ける関係各所の総意だろう。

 ちなみに日本のアニメはテレビ局をはじめとした複数の企業が出資する“製作委員会方式”で制作されることがほとんど。アニメのクレジットで「○○製作委員会」という表記を見たことのある人も多いだろう。だが『鬼滅の刃』は違った。

 製作委員会方式では、場合によっては10社前後の企業が出資することもあるが、『鬼滅の刃』は企画・販売の「アニプレックス」、原作の出版元である「集英社」、アニメーション制作の「ufotable」の3社のみ。出資企業が多いほどそれぞれの意向を汲む必要があり、制作側に制限がかかることもあるが、『鬼滅の刃』は出資企業が少ない分そうした負担が少なく、クリエイターファーストの姿勢だといわれる。また、Jリーグ・東京ヴェルディ、バンダイ、築地銀だこ、くら寿司、花王、ローソン、GU、ロッテ、おやつカンパニーなどさまざまな企業とのコラボが実現しているのも、出資企業にまつわるしがらみがないからである。

 『鬼滅の刃』がここまで巨大なコンテンツとなった一因は、AbemaTV、dTV、dアニメストア、Amazonプライム・ビデオ、FODなど、さまざまな配信サービスでみることができ、ファンの裾野をどんどん広げていけたことにあるだろう。これも一つのテレビ局が独占しようとすれば難しかったかもしれない。多くの人に作品を楽しんでもらいたいという制作側の姿勢が、どこまでもファン層を広げたのだ。

 丁寧な作画、下手なタレントを起用せずプロの声優で固めたことなども含め、ファンから制作陣への信頼は厚い。今後ふたたびアニメ化や映画化する場合でも、「今までの制作陣で進めて欲しい」「下手にTV局が関与してあれこれ口出ししなければ、みんなが納得できる仕上がりになると思う」との声が大きい。

 『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』をアニプレックスと共同配給した東宝の市川南常務取締役は、15日に開いた会見で「ぜひ続編をやらせていただきたいと切望しております」と、続編のアニメ映画化に言及。ただ、続く「吉原遊郭編」「刀鍛冶の里編」そして「最終決戦」まですべて映画化して100%ヒットさせるというのは難しいだろう。いつまでブームが続くかは不透明で賭けになる。そして何より、ビジネス面での狙いがあからさまに見えすぎて、ファンも白けてしまいそうだ。

 もうひとつ、『鬼滅の刃』は実写化についても度々取り沙汰されてきたが、ネットでは「映画以上のクオリティは出せない」「人気にのっかった実写映画化だけはやめて」と否定的な反応が多い。とはいえ、ここまでのヒットコンテンツであれば当然、実写化の話が進んでいてもおかしくなく、昨年の時点で「主演は山崎賢人で決定」との週刊誌報道もあった。

 ただ人気アニメや漫画コンテンツの実写化作品は、出演するキャスト側も苦悩やプレッシャーを感じる。12月に封切られた実写映画『約束のネバーランド』に出演している女優の浜辺美波は「ORICON NEWS」のインタビューで、いち漫画ファンとして、そして女優として実写化作品に出演することへの意見を述べていた。

<私自身漫画が好きで『これを実写化するの?』と思うこともあります。なので『実写化するべきじゃない』という声が上がることは当たり前だと思っています>

<そう思われてしまう事は仕方ないですし、そう言われたからといってショックは受けないです。もちろん怒りもしないです。むしろ『そうだよね』と思っています。それでも私たちは実写化をする意味を見つけて、作品を一生懸命に作りあげています。なのでひとりでも多くの方に見ていただいて、実写なりの良さを楽しんでいただければうれしいです>

 歴史的ヒットを記録した『鬼滅の刃』。今年もまだ、アニメ続編や実写化に関する話題は尽きなさそうだが、多くのファンを抱えるコンテンツであるだけに、制作には慎重さが必要だろう。鬼滅ブームがいつまで続くのかはわからないが、制作陣の強みや作品の良さが失われることのないようにしてほしいものだ。

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