ジャニー喜多川氏は2019年7月に亡くなった。その際、各メディアが追悼記事を配信したが、約20年前に裁判所によって事実と認定されたハラスメントについて触れた日本国内の主要メディアは皆無だった。
他方で海外メディアはこの件についても取り上げた。ニューヨーク・タイムズやBBCなどのメディアはいずれも、裁判によってジャニー氏のスキャンダルが事実として認められた件についても触れながら、訃報を取り扱った。
また、嵐の活動休止に際して松本潤がアメリカの雑誌「Variety」のニュースサイトでインタビューに応じた際も、実はジャニー氏の性虐待について触れられていた(2020年11月2日付)。
「Variety」では記者が松本本人に問い質しているわけではないものの、地の文でジャニー氏がハラスメントに関する報道をされていることや、事務所のもつ強大な力によってそのことが日本国内のメディアで報じられていないことを指摘している。
「クリーンなジャニーズ事務所」を目指す滝沢秀明副社長
ジャニー氏の逝去により、ジャニーズ事務所の体制は大きく変わった。現在はジャニー氏の姪である藤島ジュリー景子氏が社長を務め、滝沢秀明氏が副社長を務めている。
経営陣の中でも滝沢氏は事務所の体質をクリーンなものにしようと改革を断行しているとされ、2020年中に起きたスキャンダル(Snow Man岩本照、元NEWS手越祐也、KAT-TUN亀梨和也、山下智久、近藤真彦、元宇宙Six山本亮太、美 少年の佐藤龍我)に関して、すべて報道を無視せず対応した。
滝沢秀明がジャニーズ副社長になって激変──消えるジャニーズタブー
山下智久や手越祐也が、長く在籍したジャニーズ事務所を去った2020年。これまで週刊誌が所属タレントのプライベートを“スキャンダル”として報じても無視を…
現在、ジャニーズ事務所は海外展開を強く意識している。コロナの影響で嵐のアメリカ進出は道半ばで終わったが、2020年にはSnow Manがタイのイベントに参加するなど、若手グループはアジアを中心とした世界進出に意欲的だ。そうであれば「CD」という現物の売上や「オリコン1位」へのこだわりをいい加減捨て去った方が良いように思うが、もっとも大きな問題として、創業者であるジャニー氏のタブーに向き合わなければならないだろう。これに蓋をできるのは日本国内限定だ。
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