「アクロボールT03」アクロボールシリーズに待望の0.3ミリ極細タイプが登場!

文=他故壁氏
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 油性ボールペンは、日常でもっとも使用頻度の高い筆記具ではないでしょうか。事務用筆記具といえば油性ボールペンが最初に思い出されますが、ボールペンが実用品として事務の世界に普及したのは、わずか半世紀ほど前のことでした。

 パイロットコーポレーションは1964年に、それまでの黄銅製に代え、ステンレス製のチップを採用したボールペンを発売します。その後1968年、ステンレスチップを搭載した事務用ボールペン「スーパー」を発表します。黄銅製のチップは摩耗によってインクの泣きやボテが多かったのですが、より硬度の高いステンレスは摩耗に強く、書き心地も安定していたのです。

 パイロットスーパーはその名をのちにスーパーSと変え、2020年現在も80円(税別)で販売継続されています。そしてその堅牢で書き心地の安定したペンチップは、2008年から発売されているアクロボールにも受け継がれています。

 アクロボールは、濃く滑らかな書き心地のアクロインキと、握りやすく滑らないパイロット独自のタイヤパターンを持ったグリップを特徴とした低粘度油性ボールペンです。

 2008年のリーマンショック以降、不景気に直面した多くの会社は事務用品の支給を絞り始めます。ボールペンも例外ではなく、事務用ボールペンは社員自らが買い求める時代になりました。どうせ買うなら自分が気に入ったものを買い求めたい──そういったニーズが、現在の文房具業界を支えています。

 アクロボールもそんな需要に応えるべく、さまざまなバリエーションを輩出してきました。中でも0.5ミリの極細チップは好評で、広くファンを増やしています。

 ただ、世の中にはもっとこまかく文字を書きたいというニーズもありました。現在でもパイロットは「超激細」0.25ミリボールを搭載したゲルインキボールペン・ハイテックC025を発売していますが、油性ボールペンでもそのニーズが高まっていたのです。

 アクロボールの滑らかな書き心地、黒々とした筆線で、油性ボールペンの激細が欲しい──そんな夢が叶う日が来ました。

 アクロボールの書き心地も筆線の色合いもそのままに、0.3ミリボールを搭載したシリーズが登場したのです。その名も、アクロボールT03。

 Tシリーズは、2018年11月より展開されているアクロボールのラインアップのひとつです。Tシリーズの“T”は“Transfer foil”(転写箔)の意で、読んで字の如く軸に輝く転写が施されているのが特徴です。

 T03は、過去のTシリーズとはやや傾向の異なる転写が施されています。いままでのTシリーズはクリップ上部のロゴやボディラインに輝くシルバーを採用していましたが、T03はこの輝くラインはありません。ロゴもボディカラーと同系色でめだたないデザインとなり、上品に仕上がっています。

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 ボディカラーはガンメタル、ネイビー、ホワイト、コーラルピンク、グリーンの5色と、限定色であるピンクとパープルの2色を加えた7色展開です。パールカラーに輝くボディは明るく華やかで、それでいてぎらぎらしたところがない落ち着いた色合いです。

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 0.3ミリの油性ボールペンはパイロット初ではありますが、書き心地はまさに「激細になったアクロボール」そのもの。過去に0.7ミリや0.5ミリのアクロボールを使ったことのある方にはご納得いただけるのではないでしょうか。はっとするほど細い線が書け、3ミリ方眼に苦もなく漢字を書き込める能力を持ちながらも、150円(税別)で買える「普通」。あまりに普通すぎて特別なボールペンに触れたという印象は薄く、まるで以前からこういうペンがあったかのような錯覚を覚えるほどに、使い始めてすぐ手に馴染みます。

 0.3ミリのボールをコーンチップに載せる、というだけでも高精度な加工精度とインク流量の絶妙なコントロールが必要だと思うのですが、この困難を感じさせない「見えない努力」は、ステンレスチップを搭載し黄銅製チップを過去のものにした半世紀前の出来事を彷彿させます。

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 グリップはアクロボール伝統のタイヤパターン。やや厚めのラバーに滑り止めの凹凸がタイヤの表面のように浮き彫りになっています。この滑り止めは見た目以上に強力で、何があっても滑らせないという強い意志を感じます。またペン先のコントロールにも一役買っており、0.3ミリのちいさなペン先を紙のどこに置くかといった重要な局面の手助けになります。

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 アクロボールのグリップは、中央で窪み先端でまた膨らむ独特な形状を持っています。これにより、無駄な力を入れずともペン先方向に適切な筆圧を集めてくれます。またボールペンは紙に対し60度ほどの角度で書くことによって最適な書き心地を得ることができるのですが、アクロボールのグリップはその立て気味の持ち方を意識せずともキープできる設計になっています。グリップにある窪んだ部分を掴むことでペンを立てて握ることができますので、0.3ミリという繊細なボールでもかすれることなくしっかりと文字を書くことが可能です。

 ガンメタルやネイビーなどは、男女を問わず使用できる色使いになっています。手帳などにもっと細かく書きたい、高級ボールペンでない普段使いの書きやすいボールペンが欲しいと言った貴方に、ぜひお勧めしたい製品です。

(他故壁氏)

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