菅首相は「嫌われたくなくてみんなに嫌われる」? 限定的な緊急事態宣言に芸能人コメンテーターたちも疑問

文=雪代すみれ
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『グッとラック!』公式サイトより

 1月7日、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の1都3県を対象に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が再発令された。期間は1月8日~2月7日までの1カ月間だ。

 緊急事態宣言の内容は以下のとおり。

・20時以降の不要不急の外出自粛
・飲食店は20時までの時短営業、及び酒類の提供を11時から19時までとする要請。なお、要請に従わない場合には、店名の公表が可能。
・百貨店、映画館、運動施設等を対象とした20時までの営業時間短縮の協力依頼
・テレワークによる出勤者数7割減
・イベントの人数上限5,000人および、収容率50%以下、ならびに20時以降の営業時間短縮の協力依頼
・学校へは一斉休校は要求せず、保育所や放課後児童クラブも感染対策を行いながら開所。大学入学共通テストや高校入試も予定通り実施

 なお、時短要請に応じた飲食店に都道府県が支払う協力金の上限が1日当たり6万円に拡充された。解除基準に関しては、東京都の感染者数が1日あたり500人に減少が目安。中国や韓国など11カ国とのビジネス往来は継続される。

 7日の会見にて、菅義偉首相は<1カ月後には必ず事態を改善させる そのためにも私自身、内閣総理大臣として感染拡大を防止するために全力を尽くし、ありとあらゆる方策を講じてまいります>と述べた。

緊急事態宣言の効果に疑問

 以上のように昨年4月に発令された緊急事態宣言に比べ、制限は限定的だ。緊急事態宣言について取り上げた8日の『グッとラック!』(TBS系)では、緊急事態宣言の効果が疑問視され、コメンテーターたちからは批判や不安が次々と飛び出した。

 MCの立川志らく氏は、菅首相の会見について<こんなときだからこそ原稿を見ないでカメラ目線で国民に訴えかけないと(国民は)ついていかないですよ(中略)これ(緊急事態宣言)によって、仕事を失う人、なかには自ら命を絶ってしまう人が出てくるような状況の中で、原稿を読むのではなく、カメラ目線で「ついてきてくれ」ってそれくらいの訴えかけでやらないと>と菅首相のリーダーシップを不安視。

 ゲスト出演したお笑い芸人EXITのりんたろー。氏は緊急事態宣言の効果について、<会見を見てると言葉こそは強いんですけど、要請(の内容)を見ると、中途半端というか(中略)1カ月後とてもじゃないけれど500人になっているとは思えない内容だなとは思ってしまいますね><やるんだったら補償をがっつりしてって感じですね>と緊急事態宣言の効力に疑問。菅首相に対しては、「嫌われたくなくてみんなに嫌われる」と言及した。

 フリーアナウンサーの神田愛花氏は、ビジネス往来は引き続き行うことに関して、<私たちが頑張っても(変異種が)入ってきたら広まるんじゃないか>と懸念。

 コメンテーターの上地雄輔氏は「(感染者数が日々増える中で)数字自体が大きくても、昨日より少ないとほっとしてしまう」と”コロナ慣れ”が怖いとコメントし、立川志らく氏も目指す目標があることは評価したものの、<500人超えたときにはみんな驚いたんですよね>と、感染者500人で緊急事態宣言を解除することに疑問を持っていた。

 また、時短要請に従わない企業の店名公表についても議論。番組の取材に「時短要請に従わない」と回答したお店は、アクリル板など感染対策を施していたことから立川氏は<何もしていないところは従わなかったら店名を公表する、ちゃんとしているところは店名を公表するなんてちょっと酷すぎますね><従わない人たちも従えるようにしてあげるか考えていかないと>と述べ、上地氏も<いじめにすら感じちゃうかもしれない>と店名公表には否定的であった。

 りんたろー。氏も<お願いベースである以上、営業している店舗もそこに行くお客さんも責められないし、責めるべきではないと思うんですよ>と営業するお店や利用客を責める風潮に反対した。

 解説として出演した日本医科大学の北村義浩特任教授によれば、日々発表される感染者数は約2週間前の行動の結果であるため、年末年始の会食などの影響もあり、1月20日頃までは増加傾向と予想。今後としては、人との接触を4割下げれば、2月下旬頃には1日あたり500人ほどの感染者数に減少する見込みだが、接触を4割下げるとは昨年4月・5月の緊急事態宣言と同程度の行動制限となるとのこと。また、今回の緊急事態宣言は1都3県に限られるため、「対象地域外に遊びに行く人がいないか心配」とも述べた。

都内では「入院したくてもできない」状況

 番組では、都内で一人暮らしをする18歳の大学生に取材。12月末に感染が発覚し、自宅で療養するものの年明け後には呼吸が苦しくなり、一人暮らしでもあることから都の発熱センターに入院を希望したものの、<患者待ちが多いから本当にダメだったら自分で何とかするしかない>と言われたという。保健所にも不整脈の持病があることを伝えたものの、入院はできなかったそうだ。

 東京都でも1月8日現在、4,000人以上の感染者が「入院・療養等調整中」になっており、保健所等の対応もひっ迫している。北村先生は<「あの人は特別だからVTRで取り上げたのだろう」と思うかもしれませんが、今そういう方は東京都に4,000人いる>とコメント。

 医療崩壊の懸念は日々高まっており、今後は新型コロナだけでなく、別の病気や怪我で緊急を要するときでも、治療を受けられなくなる恐れがある。新型コロナの重症化リスクが低いといわれる若者でも無関係ではない。

 現状、営業時間短縮の協力が求められている飲食店や、施設、エンタメ業界などへの補償は十分とは言えず、自粛要請に従えないお店があるのは仕方がないだろう。一方で、完全に収束するまでは一人ひとりの対策も求められ続ける。強い制限がかからない以上、手洗いやマスクの着用、マスクをしない状態での会話を控える、換気を行うなど、個人が意識を高く持って、対策をするしかないのかもしれない。

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