東京オリンピック「再延期」は不可能。政府・組織委の広報失敗、連発される「精神論」

文=本間龍
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 こうした彼らの強気一辺倒な発言は、緊急事態宣言まで至ってしまった現在、まったく国民の支持を受けていない。それどころか、発言の度に厳しい批判を招いているのが実情である。森会長や武藤事務局長、橋本五輪相が上記のような発言をする度に、ニュースサイトやSNSのコメント欄には厳しい批判の声ばかりが並ぶ事態になっている。

 ここから分かるのは、まともな広報官担当者いなかったということだ。ロンドン五輪の際には、責任者であるセバスチャン・コー氏が毎週記者会見で質疑応答に全て答え、開催意義を繰り返し国民にPRして信頼を築いたという。

 それに比べると、日本の組織委にも広報担当者は居るとはいえ、どうしても森氏や武藤氏には及ばず、ニュースバリューもないから世論への訴求力も無い。そのため、森氏らが好き勝手に発言した内容が組織委全体の意思だと認識されてしまうところに、PRのお粗末さ加減が現れている。

 五輪のような国家的で巨額の税金を投入するイベントのPRにおける最重要課題は、人々の共感を集め、税金投入の必要性を理解してもらうことにある。これは平時でも難しいことなのに、コロナ禍で多くの国民が生活を脅かされ苦しんでいる最中に東京五輪を開催するためには、さらに多くの言葉を尽くして、共感と理解を得ることが必要だったのだ。

 だが上記三者は、その真逆の発言を行ってきた。森氏は「五輪開催はもう決まっている」と、中止可能性を語るのも不愉快という態度をあからさまにしたが、これは今に始まったことではない。武藤氏も「国民にもご理解いただきたい」と言いながら、決して頭を下げるわけではなく、上から目線の発言が目立った。そして橋本氏に至っては、意味不明の希望的観測を述べるだけだ。

 コロナ禍のない平時においては、これでもどうにか開催出来ただろう。だが現在のような厳しい状況下では、上記のような態度で、どうやって国民の理解や共感を得られるというのだろうか。

 再度の緊急事態発出と変異種の出現で、東京五輪の中止は避けられなくなった。そしてそれを決定づけたのは、森氏や武藤氏など、今まで東京五輪の顔となってきた人々の、無思慮で無神経な発言だったのである。

(本間龍)

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