もちろん慎吾くん自身は当時はグチなんか一切、言わなかったけど、見かねたスタッフが「慎吾くんを少し寝かせてあげませんか? 頑張ってくれていますが、表情が疲れきってます」なんて助言して、何とか撮影の時短を画策したり。体力も気力も消耗していくのに、でも次から次へと主演ドラマが舞い込んで、「それが当たり前になっていてありがたみを忘れてた。だってとにかく眠かったから」と、ちょっとドラマ恐怖症になっていた日々を懐かしそうに回顧していたわ。
撮影の合間はよく寝ていたけど、本番になると楽しそうに演技をしていたし、共演者やスタッフにも好かれていたから、「ちょっとドラマから離れたいと思った時があった」だなんて、ぜーんぜん気づかなかったわぁ。ホントごめんなさいね、毎度の事だけどガツガツ取材しちゃって。
でもね、1996年の『ドク』(フジテレビ系)でベトナム人就学生のドクを演じた時から、世間の「俳優・香取慎吾」の評価はとっても高かったものね。次々と主演を張るようになって忙しさのあまり、セリフを覚えていない状態で現場に入って来ることもしばしば。だけど段取り、ドライ、カメリハ、ランスルーを繰り返すうちにすぐにセリフを覚えていって、ランスルー後のメイク直し中に、きっちり頭に叩き込んで、いざ本番になるといつも完璧な演技をするのが慎吾くんだったのよ。その集中力たるや、凡人じゃないのは明白。
三谷幸喜さんもよく苦笑いしながら「あの人は、僕の完全なる台本を軽く飛び越えていくんですよ」とおっしゃっていたけど、類まれなる集中力と持って生まれた偉大なる感性が「俳優・香取慎吾」を作っていったのかもしれないわね。
まぁそんな陳腐な褒め言葉はよしとしない慎吾くんだから、「テレビから少し遠ざかっていたからこそ、大事なものに気づく事ができたのかもしれない。感謝の気持ちを忘れてはいけないなって思った」そうなの。
演技プランも着々と練っていたようで「本当に楽しみ。共演者の人たちとどんな空間を作る事が出来るのか、模索しながら撮影していてそれが面白くて」と満面の笑み。
三谷幸喜さん作の配信ドラマ『誰かが、見ている』(Amazonプライム・ビデオ)以来の立て続けのドラマ取材も新鮮だったみたいだけど、さすがの順応性。ゆっくり考えつつも言葉を選びながら的確なコメントを投下。そうそうコレコレ、待ってましたの慎吾くんよ。
アーティスティックな活動もいい、YouTuberとしてだって大活躍、CMは毎日じゃんじゃん流れているし、才能溢れる彼だから何をしたって舞台がどこであろうと成功するだろうけど、でも慎吾くんにはテレビに戻ってきて欲しいな。コレ、本音。長年の習慣からやっぱり「香取慎吾はテレビ人」の一面が強いし、常にチャレンジャーでいて欲しいしね。
吾郎ちゃんやつよぽんとも「よく芝居の話をしている」との事だし、テレビの世界でも新しい地図を描いて、ガンガン広げてくれる事を切に希望します。いやぁ新しい地図の3人はどう考えても、誰が見たって「よい役者」だもんね〜。テレビドラマでもっともっと見たいわ。『アノニマス』は吾郎ちゃんはもちろん、新婚つよぽんも、そして森くんも見るだろうし、何より多くの視聴者の皆さんに見ていただきたいの。考えさせられるドラマだしね。あなたの心の深い所に届きますように!
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