ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。受験、入学前のお金の振り込み季節になってきました。人生の3大資金は教育資金・住宅資金・老後資金と言われているほどで、子どもの教育にはお金がかかるものです。
昨年から続く新型コロナウイルスの影響が家計に及んでいる家庭も少なくないでしょう。今回は教育費がない場合の調達手段についてお伝えしようと思います。。
子ども1人にいくらかかるか
子どもの教育資金がどのくらいかかるかを計算すると、幼稚園・保育園から4年制大学まで全て公立で約800万円、全て私立で約2000万円、全て私立かつ医科歯科系で約4000万円となります。
中学生くらいまでは意外にお金がかからないためのんびりしてしまう方もいらっしゃるのですが、大学受験から大学入学までにまとめてお金がかかります。入学したら終わりではなく、その後も卒業まで高止まりのままです。「意外にお金がかからないんだ」と油断せず、幼少期から計画的に貯めていく必要があります。
貯め方としては、児童手当をコツコツ預貯金で積み立てていく方法、学資保険等を活用している方が多いようです。しかし、本当に厳しい状況の家計もあり、大学進学を断念したり、経済的理由で中退してしまうケースもあるようです。
知っておきたい贈与税非課税制度
厳しい家計で暮らす世帯も多い中、日本の金融資産は増え続けています。昨年2020年には前年から2.7%も増え過去最高の約1901兆円となりました。この多くは高齢者の元にあると言われています。
そこで、考えたいのが、祖父母から贈与を受けられないかということです。
本来であれば、110万円を超えたお金をもらうと贈与税がかかってしまうのですが、「教育資金一括贈与」の制度を使うことで、1,500万円まで非課税となります。2021年3月まで限定の予定でしたが2年延長がほぼ決まりました。
生活費ではなく、あくまで教育資金という制限があるなど、各種ルールはありますが、孫が長く奨学金や教育ローンの返済に追われることを思えば、制度の利用を考えてくれる祖父母は多く存在するはずです。手続きは金融機関で行います。
返済不要の奨学金制度から検討する
次に知っておきたいのは、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金です。これは、世帯収入の基準など要件を満たせば返済不要となり、2019年のいわゆる大学無償化法により大学・専門学校等の授業料・入学金も免除又は減額される新制度も加わり内容が充実しました。
該当しなかった場合は、同じくJASSOの貸与型奨学金、つまり、返済していく必要のある昔ながらの奨学金制度です。教育ローンなどを利用するよりはこちらを検討しましょう。
次に検討したいのが「国の教育ローン」と言われている日本政策金融公庫の教育一般貸付です。前述JASSOの奨学金と併用も可能で、用途や学校の制限が少ないのが特徴です。
大学独自の制度なども
前述した王道の制度は最低限知っておくべきですが、独自の奨学金制度を設けている大学もありますので、そういった大学から志望校を選んでいく方法もあるでしょう。
最後の手段がその他金融機関の教育ローンです。
まずは、早い段階からコツコツ積み立てる必要性を知っておきましょう。次に、祖父母からの贈与の可能性の有無です。それがなければ、各種制度の活用を検討してください。
筆者は今年度から大学の経済学部で非常勤講師の仕事もしています。学生さんは予想を遥かに超えて真面目に一生懸命勉強しています。その姿を見ると、経済的理由で進学や卒業を諦めてしまうのは残念なことだと感じます。
本人に気持ちがあるのなら、学ぶ機会を支援しようという動きは少なからずありますので引き続き注目していきましょう。