惜しくも第164回直木賞を逃したNEWSの加藤シゲアキさん。しかし今度は『2021年 本屋大賞』に『オルタネート』がノミネートされました。ジャニーズファン向けのサイトでコツコツとエッセイを書いている頃から光るものがあった、というのはアツコの弁。執筆を開始した当初から現在までの進化を振り返ります。
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皆さん、ごきげんよう。アツこと秘密のアツコちゃんです!
「絶対イケる!」と確信すらしていたのにぃ。惜しくも作家・加藤シゲアキ氏受賞ならず『推し、散る』。えっ、何のことって『第164回芥川賞・直木賞』の選考結果についてよ。ジャニーズ初の直木賞受賞作家が誕生するはずだったのに何てこった。
固唾を呑んでその行方を見守っていた先輩編集のM姉御なんて「何でよ、残念過ぎるじゃない。大した執筆もしてない作家もどきの〇〇だって受賞してるのに〜」と、あらぬ方向にまで八つ当たりしちゃって勝手にご立腹。だけどちょっと拗ねちゃう気持ちも分かってあげてね。だってシゲが『オルタネート』で初めて直木賞にノミネートされただけで、もう大喜びしちゃってたんだから。
でもま、直木賞は惜しくも逃したけれど、また次回があるし、そんなことより時はすでにガンガン動いているのよ。今度は全国の書店員さんが今一番売りたい本を選ぶ『2021年 本屋大賞』に『オルタネート』がノミネートされたんだからぁ。こんな嬉しいことってある? 大賞の発表は4月上旬になるそうなんだけど、今度こそ『推し、貰う』 になることを信じて、今宵もリモートがぶ飲み会を開くアツたちでございます。
それにしても本当にびっくりよね、ここまで来るなんて。彼の溢れ出る才能は感じていたし、長年のファンの皆さんはご存知だろうけど、アツがシゲの文才におののいちゃったのは2005年頃かしら。Johnny’sWeb内で彼が書いていたエッセイ『吾輩はシゲである』を読んで感動しちゃってね。
手越祐也も「1ページ目は読んだ」
ちょっとうろ覚えなんだけど、シゲのお友達の『思い違いの喜怒哀楽話』や店員さんとの攻防を描いた『レシート宛名事件』等など、クスッと笑えるエッセイが秀逸で、いつも取材の時に「面白かったわぁ。これはもう書くしかないよね」なんて話したの。謙虚なシゲは「たまたまだって。そりゃ書くことは好きだけど、毎回プレッシャー与えないでよ〜。そんな簡単にはいかないんだから」と言っててね。自分が一歩前に出るなんてことは一切、考えてなくてこっちがウズウズしちゃってたぐらい。
そんな中、NEWSにも紆余曲折あり&二転三転ドタバタあって、いざNEWSもシゲ自身も新天地へと。そしてついに2012年、小説『ピンクとグレー』で念願の作家デビュー。「おめでとう」と伝えたら「書いたぁ」とたった一言で答えてきたんだけど、その一言にいろんな感情が入り交じっていて、取材中なのにウルウルしちゃった。
そうしたら小山慶一郎くんが「凄いよね、シゲが夢を叶えた」って。小山くんは自ら宣伝隊長として名乗りを上げて全力であちこちにPRしていて。親友の作品をじっくりコトコト深く読み込んでいて愛を感じたんだけど、そこで笑わせてくれたのが増田貴久くんね。「あ、俺は読んでないよ。サイン入りでシゲから貰ったけど。いつ読むかって? いや読まないんじゃないかなぁ?」なんて言ってて。
手越祐也くんは「まっすー、慶ちゃんに要点をまとめて貰おうよ。でも俺、1ページ目は読んだからね。その後5ページぐらいはいったかな」なんてジョークを飛ばしてて、シゲも「まずはメンバーに読んで貰えるようにならないと。それが第一目標だな」と笑って、その姿が何とも初々しくてね。あれから忙しい合間を縫って執筆を続け、悩んだり苦しんだり、寝る間を惜しんで書いて書いて、いつしかすっかり作家の顔に。
だけどいつも思うのよ。作家としてのシゲ、アイドルとしてのシゲ、どちらも本当に自然にうまく共存しているって。作家インタビューの時はその豊富で的確なボキャブラリーに感心するばかりで、時に置いてけぼりを食っちゃったりするんだけど、アイドルとして、または俳優としてインタビューする時は、ちゃんと下界に降りてきてくれて、「アツにも分かる優しい言葉」で語りかけてくれるの。
アイドルの作家、作家のアイドル。ま、どっちでもいいんだけど、自由自在に使い分けつつもどちらも大切にしていて、ありがちだけど作家の時はエラソ〜なんて事も、シゲに限っては皆無。そのバランス感覚たるや天才的よ。
今回「アイドルの作品が直木賞や本屋大賞にノミネートされるのは初めて。快挙」とよく言われていたけど、チョイチョイチョイ、ちょっと待ってよって感じなのよ。アイドルとしてレギュラー番組を持ち、コンサート等も行い、俳優としてもハードスケジュールな撮影を日々こなして、もうハンパない忙しさだったのよ。そりゃ時にはコロナじゃないところで自粛生活を余儀なくされたこともあったけど(笑)、そんな中で時間を見つけ題材を見つけ猪突猛進。努力に努力を重ねて小説を書きあげてきたんだもの。
アイドルが書いたってわけじゃなくて、シゲが書いた作品なんだからね。その辺りの表現、ちゃーんとしてくださいねって思っちゃったりするのよ。こんなアツの説明で上手く伝わるかしら?
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