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イングランドでは昨年12月の時点で、8人に1人が新型コロナウイルスにかかっていたとの推計をONS(the Office for National Statistics – 英国統計局)が発表した。
16歳以上の人からランダムに抽出した血液検査結果に基づいて分析した結果、約12%が新型コロナウイルスの抗体検査で陽性を示し、国内で8人に1人が過去に同ウイルスに感染していたことがあるとのデータが提示された。昨年11月のデータでは約9%、10月には7%だったため、感染者数は増加傾向にある。
ONSの研究チームは「昨年春の第1波の際に新型コロナウイルスに感染した人の抗体が未だに検出可能なのか、また抗体を持っていることによって再び感染することが無くなるのかどうかは未だ分かっていない」と語った。
新たに確認された変異種の感染力は従来のウイルスの50〜70%高いと言われており、ロンドンでは昨年12月28日から1月2日までの新規感染者数のうち、変異種の新型コロナウイルスに感染した人は全体の81%を占めていた。
三度目の全国的なロックダウン
イギリスでは現在、三度目のロックダウン(都市封鎖)が行われており、国民は必要最低限の外出を除き家にいなければならない。規則を破った者には、最大で6400ポンド(日本円で約90万円)の罰金が課せられる。
22日、政府はさらに15人以上のハウスパーティーに参加した者にはそれぞれ800ポンド(日本円で約11万円)の罰金が発生するとの追加ルールを発表した。
また、30人以上の違法な集まりを主催した者には最大で10,000ポンド(日本円で約140万円)の罰金が発生する。
先日、ルールを破りハウスパーティーを行った者たちが警察に「ニュースを見ないので、パンデミックが起こっているとは知らなかった」とシラを切りSNSを騒がせていたが、その6日後に発表された罰則の強化だった。
”ロックダウン慣れ”により、規則破りが多数発生している同国は、今度さらなる厳しい罰則を課すことも辞さないとの強い姿勢を示した。
「もうロックダウンは疲れた」
現在の状況を、イギリス国内に住む知人らに聞いてみたところ、総じて誰の口からも「もうロックダウンは疲れた」との声が聞こえてきた。
イギリス北部のスコットランドに住む知人は、「もう一年以上どこにも行っていない。隣の家の人もコロナに感染し、私の友人知人にも感染者が出ている。ボリス・ジョンソン首相の後手後手の対策にはうんざりだし、さらにこんな時にEUを離脱してしまって地元の漁師の人々はヨーロッパを相手にしてやっていた仕事を失いさらに困っている」と語った。
ロンドン市内に住んでいる知人は、「みんなロックダウンに慣れてしまって、隠れて商売している人たちも見かけたし、当初のような緊張感は正直あまりない。どんどん罰則は厳しくなっていくが、なんとか抜け道を見つけている人も多々いる。スーパーや公共交通機関の中では皆ほとんどマスクをつけているが、公園など屋外でマスクをつけている人は全体の半分くらい。3度目のロックダウンが始まる直前などは、近所の公園は人でごった返していたし、クリスマスにこっそり帰省して家族に会いに行っていた人もたくさんいた」と語った。
他にも、実家に帰ってリモートで仕事を続けながらこの機会に貯金をしている人や、生活に変化を求めて長年住んだ家から引っ越しをしたという人もいた。
ロックダウンで働けない人への補償は?
イギリスには雇用維持制度(Furlough Scheme)があり、企業が従業員の雇用を維持した場合、その従業員の給与の8割、1人あたり月額最大2500ポンド(日本円で約35万円)を政府が補償する。
また、職を失った人や低収入の人にはユニバーサル・クレジットという日本でいう生活保護のような制度があり、25歳以上で単身の場合月に約410ポンド(日本円で約6万円)の支給や家賃補助、また子供を持つ親や持病を持つ人などはさらに追加で補償を受けられる。
英国籍も永住権もなく外国人向けの就労ビザで働いていた私でも、毎月きちんと以前稼いでいた給料の8割をもらうことができた。煩雑な書類申請などはなく、働いていた会社を通してほぼ自動的に銀行にお金が振り込まれ、非常に安堵したことを覚えている。
制度から漏れてしまい何も補償を受けることができず困窮している人をどうするかについての問題などはあるが、イギリスの補償制度は日本よりもだいぶ整備されていると言える。
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