2020年の女性の自殺者が大幅に増加。コロナで浮き彫りになった「コロナ前からあった問題」

文=雪代すみれ
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GettyImagesより

 1月22日に厚生労働省自殺対策推進室が公開した資料によると、2020年の自殺者数の速報値は20919人で、2019年の確定値より750人増加した。内訳を見ると、男性は約100人減少したのに対し、女性は900人近く増えている。

 また昨年12月、野村総合研究所が行った全国の20~59歳のパート・アルバイト就業者の女性約5万6千人を対象とした調査によると、10.4%が「5割以上シフトが減少した」と回答。そのうち74.1%が「休業手当なし」と回答しており、本調査からは同様の「実質的失業者」のパート・アルバイトの女性が90万人いると推計されている。

 ほかにも2020年度のDV相談件数が、昨年11月までの時点で13万件を超えており、既に過去最多となっている。

 新型コロナウイルスは多くの人の生活に影響を与えているが、特に女性への影響が大きいことは以前から指摘されている。1月26日の『グッとラック!』(TBS系)でもこの問題を特集し、コロナ禍で仕事でも家庭でも、女性への負担が増加している背景を掘り下げた。

 番組が取材した30代の2児の母親の女性は、市内で園児の感染確認があったため夫と相談して子どもの登園回数を減らし、週4日のテレワーク及び自宅で子どもを見ている状況だという。子どもたちがパソコンに触りたがるので台所で立って仕事をしたり、子どもを見ながらだと仕事に集中できる時間が1回10分程度でなかなか進まなく、早朝や深夜にも仕事をするなど、「コロナ前に比べ確実に負担が増えている」と語る。

 別の30代のシングルマザーの女性は、月給16万円でなんとかやりくりしてきたものの、日曜保育が自粛になってしまったため、その分別のベビーシッター制度を使うことになり多いときで月に6万円かかっているそうだ。またシングルマザーということもあり、自分がコロナに感染し、万が一のことがあったことを考え、昨年夏からエンディングノートを書き始めたという。他にも勤務先のコンビニが閉店したり、飲食店が休業したりしたことでこの先の生活への不安を口にするシングルマザーの女性もおり、さまざまな方向から女性への負担が増えていることがうかがえる。

田村淳「パートナーが言えないだけかもしれないので話し合いが必要」

 スタジオではフリーライターで火曜コメンテーターの望月優大氏が、なぜコロナ禍において女性の方が影響を受けやすいのか解説。①飲食業や宿泊業など仕事が減った仕事に女性が多い、②医療や福祉など負担が増えた仕事に女性が多い、③家事負担がより増え、その多くを女性が担っているためだ。

 ①については経済的影響を受け、②については仕事の満足度が下がっている。③については、外食や介護、保育園、学校など今まで外に頼れていたものが家庭に巻き戻ったが夫婦で平等に分担できていない夫婦も多く、女性の担当が増えがちだという。そのため<外でも大変、中でも大変という状況になっている女性の方が多くいる>と望月氏は言及した。

 番組では、内閣府の「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動変化に関する調査」も紹介。「家事・育児・介護の負担が大きすぎる」「配偶者にもっと家事をしてほしい」と回答した女性は男性の約2倍の割合であった。

 家事分担について、メインコメンテーターの田村淳氏は「うちも話し合いをしたうえで分担しているわけじゃないので、気づいたことをやるだけでは(妻の)負担を軽減していないのかもと思った」と省みて、<話し合いをしなきゃ。(妻が)言えないでいるってことがあるかもしれない>と述べた。

 ゲスト出演した2児の父親であるトレンディエンジェル斎藤司氏は、いつも育児をやっているつもりではあるものの「奥さんと上の子が病院に行くときなどで、下の子を僕が預かるときは不安になる」「僕が一人で子どもを見るときは奥さんが帰ってくる時間がわかってるから終わりが見えますけど、一人で子育てしている方ってそれがないわけじゃないですか。それを考えるとこれは結構相当(大変)だぞって思いましたし、そこは考えられるようにならきゃなって思いました」とコメント。失礼ながら、自分の子どもであるにも関わらず「妻から子どもを”預かる”」と表現しているところに、斉藤氏の育児に対する当事者意識の低さを垣間見てしまった。

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