「太陽のレーダー」太陽光を当てると色が美しく変化する消しゴム

文=他故壁氏
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 消しゴムは児童生徒だけではなく、大人になっても学習や事務で、なくてはならない筆記具の友ですよね。よく消えて折れにくく、手頃な価格で購入できることが基準になるのではないでしょうか。

 ただ、それだけでは何となくつまらない、と思ったことはありませんか。

 ファンシー文具と呼ばれるかわいい柄の入ったものや匂いつき、あるいは一般的な四角い形状からはかけ離れたさまざまな立体物となったもの。消しゴムって意外なほどバリエーションがあります。

 でも、それも児童生徒ならでは。大人になってから選ぶ消しゴムは、そこまでファンシーというわけにはいきません。

 それでもやっぱり、どうせ選ぶなら綺麗だったり可愛かったりする消しゴムを手許に置きたいですよね。

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 2019年9月、消しゴムメーカーのシードは、今までのファンシー事情とは全く異なる、大人も子供もみんな欲しがる画期的な消しゴムを発売しました。製品名は「クリアレーダー」。

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 1968年6月、最初のレーダー消しゴムが発売されました。当時の雑誌「暮しの手帖」1970年第6号(暮しの手帖社)に掲載された記事「消しゴムをテストする」にて「(テストした)その中でもシード(レーダー)S-50は、性能から見て、トップだった上にねだんも安い」と評価されたことにより知名度が上がり、全国に名を馳せた定番の消しゴムです。

 そのレーダーの名を冠したクリアレーダーは、見た目にも涼しげな半透明のボディを持つ、それでいてしっかりと消せる製品でした。発売してすぐ、インスタグラムを中心としたSNSでその美しさが写真とともに拡がり、一時は生産が間に合わず幻の製品となっていた時期もあったほどです。

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 今回ご紹介する「太陽のレーダー」は、そのクリアレーダーの流れを汲む半透明の消しゴムです。クリアレーダー同様に半透明のボディを持っているのですが、クリアレーダーにはない特徴があります。

 実は本製品は、太陽光を浴びると色が変わるのです。

 クリアレーダーは淡いブルーの半透明ボディ1種類のみでしたが、今回の太陽のレーダは3色がラインナップされています。

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 ピンクのボディは、バイオレットに。ライトグリーンのボディはブルーに。ライトブルーのボディはグリーンに。かなり綺麗に変化します。

 太陽光を浴びている間は変色していますが、また日陰──例えばペンケースに戻してしばらくすれば、元のボディカラーに変化します。

 晴天時と曇天時では太陽光のパワーが違うからか、変色が弱いことがあります。また太陽光を浴びている間だけ変色しますが、永く当てていると本体が劣化してしまう可能性があるようです。ふだんはペンケースの中などに保管し、色を変えて楽しみたいときだけ直射日光に当てるようにしましょう。

 水分の多い場所に放置すると透明度が下がり、白濁することがあります。正確な成分は不明ですが、本体成分のどこかが吸湿するのでしょう。使用後にペンケースにしまうような使用方法なら問題ないと思いますが、仮に濡らしてしまった場合などは放置せず拭いたあと乾燥させたほうが良さそうです。

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 肝心の消し心地ですが、硬くてしっかりとした腰があり、消しカスはほとんど出ません。シャープペンシルでノートに書いた字などは、問題なく綺麗に消すことができます。こういう半透明素材の消しゴムって、ファンシー系では「ほとんど消えない消しゴム」というイメージがあったのですが、クリアレーダーといい太陽のレーダーといい、そういう従来のイメージを覆す消字能力を持っています。

 ただし、濃い鉛筆でスケッチされた線や、漫画などの下書きで書いた鉛筆の線を幅広く消すといった使い方には適していません。特に濃い鉛筆で黒々と書かれた線に本製品を使うと、黒鉛を消しカスが巻き込みきれずにすべり、筆線がぐいと拡げられる結果となります。美術関係や濃い鉛筆の筆記線を消したい場合は、一般的な白い消しゴムのほうが適しています。

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 ここでひとつ、豆知識を。シードのレーダー消しゴムは、ワンタッチでビニールを取り去る機能があります。通常、消しゴムは販売されている間はビニールで覆われ、使う際に先端のビニールを取り去りますよね。メーカーによってはここに引っ張って取るためのヒモ構造を取りつけるなどの工夫を施していますが、シードのレーダーは切れ目が入っているので、先端をつまんで軽く捻るだけでビニールを取り去ることができて大変便利です。

 色が変化する、綺麗で美しい、それでいて一般的な消しゴムとほぼ同様に消すことができる。消しゴムとしての使用頻度が少ない大人にとってみれば、「使わないときも美しい」というのはメリットのひとつだと思います。大人可愛いペンケースや筆記具でコーディネイトしたのに、どうもそのラインナップに似合う可愛い消しゴムが見当たらない──あるいはインスタグラムにアップするための小物が欲しい、そういうニーズにも応えられる、2020年代の文房具だと感じます。

(他故壁氏)

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