『悪霊狩猟団:カウンターズ』を生んだ韓国ドラマ・映画界の充実ぶりに目を見張る

文=菅原史稀
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Netflixより

 本国・韓国において「最近オススメのドラマは?」と聞くと誰もが名を挙げるほどの話題作が、1月31日より日本のNetflixで配信開始予定となっている。その作品『悪霊狩猟団:カウンターズ』(原題『驚異的な噂』)は、昨年、韓国の大手テレビチャンネル・OCNドラマ史上最高となる視聴率を獲得し、今年に入ってからも韓国におけるNetflixデイリーランキングで1位をキープし続ける人気ぶりを博している。

 『悪霊狩猟団:カウンターズ』は、日本でも大ヒットした『梨泰院クラス』、『キム秘書はいったい、なぜ?』、『Sweet Home -俺と世界の絶望-』と同様にウェブトゥーン(ネット上に公開されるデジタルコミック)を原作としている。昼間はククス(韓国の麺料理)店で働く登場人物たちが、夜は世にはびこる悪霊たちを退治するといった内容の痛快ヒーロードラマだ。

 主演には『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』のチョ・ビョンギュ、その脇を『優雅な友達』のユ・ジュンサン、『椿の花咲く頃』のヨム・ヘラン、そしてK-POPアイドルグループgugudanの元メンバー、キム・セジョンらが固める。

 名優から新鋭まで揃ったキャスト陣が演じるのは、とんでもない怪力の持ち主、治癒能力を備える者、悪霊を感知し人の記憶を読むことができる人間レーダー、といった個性溢れる悪霊ハンター・カウンター。お揃いの赤いジャージに身を包んだ彼らが各自の特殊能力を活かして活躍する本作は、ヒーロー物ならではの痛快で心躍るキャラクター設定とテンポよく進む小気味良いストーリーが相まって、ドラマファンのみならず幅広い層からの評価を受けている。

 この『悪霊狩猟団:カウンターズ』で欠かせないのが、作中に見られるド迫力のアクションシーンだ。各作品のアクション演出を手がける武術監督たちからは、「近年の韓国ドラマにおけるアクションの重要性と注目度の高まりを実感しており、かつて家族劇やメロドラマが中心であった韓国ドラマにおいて“味付け”程度の存在だったアクションシーンは、今や視聴者にとって“メインディッシュ”となっている」という声が上がっている。(参照

 その理由として『Sweet Home -俺と世界の絶望-』の武術監督キム・ソンウン氏は、まず「撮影技術や編集技術、CG技術の発展もありながら、ドラマ制作の準備期間が以前よりも長くなった影響が大きい。アクションに対するスタッフや俳優陣の理解度も深まり、撮影前に十分なトレーニング期間が設けられる」といった制作側の変化を挙げた。

 それに加え、映画とドラマ、地上波とケーブルテレビなどのメディア区分がぼやけて様々な映像コンテンツが競い合う状況となった現在では、より新しく多様なものを求める視聴者のニーズが高まったといい、「視聴者がアクションを見る目が肥えた」と視聴者側の変化についても語っている。

 最近では一つのアクションシーンを撮影するため2カ月以上を費やすといったケースも珍しくないというが、『悪霊狩猟団:カウンターズ』における格闘シーンの映像がSNS上で話題を集め作品の人気に繋がった現象からも、その重要性をうかがい知ることができる。今後の韓国ドラマにおいて、アクション表現のこだわりと進化は最も注目すべきポイントの一つだと言えるだろう。

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