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日経HRが、大学等のキャリア教育・就職支援担当者を対象に「21年春卒業予定者と22年春卒業予定者の就職環境・就職支援」、インターンシップや採用選考に関する「国と企業への要望」等に関する調査を実施。その結果を公開しました。
それによると、22年卒の就職環境は21年卒に比べて「悪くなる」という予想が圧倒的多数でした(「かなり悪くなる」19.5%、「やや悪くなる」68.8%、「21年卒並」10.4%、「やや良くなる」1.3%。「悪くなる」)。
しかし2008年に起こったリーマンショック時と比べると、「リーマンほど悪化しない」56.7%、「リーマン並み」32.8%、「リーマン以上に悪くなる」10.4%。リーマンショック以上の悪化はなさそうだと予想されています。
そんな22年卒の就活支援はどうなるのか。学生と企業の接点である「学内企業説明会」は、「オンラインで実施予定」61.0%、「対面で実施予定」「未定」はそれぞれ19.5%となっています。
就活支援の実施方法(複数回答)は、「オンライン」94.8%、「対面」83.1%、「WEB」83.1%、「動画」72.7%、「電話」66.2%、「メール」64.9%と、あらゆる手段を用いて対応するようです。
22年卒の就活支援で力を入れる点としては、「業界・企業研究講座」が最多で62.3%。次いで、「学内企業説明会」58.4%、「オンライン就活対策講座」51.9%。コロナ禍により企業との「リアル」での接点が不足することは避けられないため、それに伴うミスマッチの解消や、人気業界の採用減を受けて志望業界の視野を広げることなどが重要と見られています。
22年卒のインターンシップの参加状況は、21年卒に比べて「非常に少ない」(16.9%)、「やや少ない」(26.0%)、「前年並み」20.8%、「やや多い」14.3%、「把握できていない」22.1%。「少ない」との回答は合計で42.9%に上りました。大学主導のインターンシップ参加状況は「非常に少ない」32.5%、「やや少ない」39.0%で、こちらは「少ない」が7割を超えています。
大学側から企業への要望としては、コロナ前から長年の課題となっている採用スケジュールについてが多く寄せられています。
「3月広報解禁・6月選考開始のスケジュールを守ってほしい。オンライン授業に伴い、3年生の学業への影響は大きく、しっかりと学業に集中できる環境を整えてほしい」
「留学や実習等の事由により早期から活動が難しい学生への配慮」
「試験時期(の選考)は避けてほしい」
いずれも大学側としては当然の要望といえます。
オンライン選考とリアル選考については、都市部と地方の大学で意見が分かれる傾向。
「地方大学にとってオンライン化は交通費等の学生負担を軽減させることにつながった。説明会や面接は引き続きオンラインで実施してほしい」
「コロナ禍では極力オンライン選考をしてほしい(20年4、5月には、遠方の学生を首都圏まで呼び出す企業があった)」
「最終面接は対面で実施してほしい。学生は一度も会社を訪れずに進路を決めるのは不安だろう」
そのほか、「厳しい状況ではあるが、日本人学生とともに外国人留学生にも応募の機会を与えてほしい」「経済界全体として『第二の就職氷河期世代』を作らないようにしてほしい」と、学生たちを真摯に慮るコメントも目立ちました。
次に「インターンシップ」について大学側から企業への要望としては、「通常授業期間中の平日に開催されるイベントはできる限り控えてほしい」など、やはりスケジュール問題があります。また、インターンシップの主旨を明示していない企業が少なくないようです。
「就業体験なのか早期の説明会なのか採用選考なのか明記してほしい」
「インターンシップを採用前提とする場合、きちんと学生に説明をすべき(夏/冬インターンに参加できなくても、本選考に応募可能なら、その旨を学生にはっきり伝えるべき)」
インターンシップの実施そのものは学生にとって大切な機会と考えられているようで、「オンライン」や短期(1day)実施の要望もあります。
「コロナの感染拡大状況にもよるが、一度も社屋等を訪れないままの就職とならないような工夫と、先輩の話が聞ける機会を設けてほしい」
「1dayでも良いのでぜひ計画をしてほしい。多くの学生を対象としてほしい」
「オンライン・対面のハイブリッドで実施してほしい」
国への要望としては、「インターンシップの定義(名称、期間など)をより明確にしてほしい」「長期間(5日間以上)の就業体験ができるインターンシップの実施を企業へ呼びかけてほしい」「学生に対して、評価のフィードバックを義務化するようにしてほしい」「長期のインターンシップを後押しするような政策的支援があると良いと思う」など、ハード面の整備を求める声が多く出ています。
▼調査概要
調査対象:就職支援・キャリア教育担当教職員
実施期間:2020年11月24日~12月8日
調査方法:メールにて依頼し、Webサイトで回答
回答者数:77人・76校(大学70、短期大学3、専門学校2、大学院大学1)