玉森裕太の演技に「ダメだ、こりゃ」と現場が冷えたあの頃
その後、デビューの2011年には『美男ですね』(TBS系)で連ドラ初主演を。たいぴーや八乙女光くんと一緒に大きな役を射止めたの。でも最初はね、実はたいぴーと玉ちゃんの役は反対だったの。そのせいもあって役作りに時間をかけることが出来なくて、クランクイン当日の玉ちゃんは緊張の連続。たいぴーは余裕ありありだったから、玉ちゃんをケアするためにずっとそばについていて。今ではウソみたいなんだけど、当初は監督に言われたことが何も出来なかったのよ。
例えば「ここで振り返ってセリフを」と言われたら、振り返るので精一杯でセリフが言えない。次はセリフは言えても振り返るのを忘れるとか、撮影が遅遅としてぜーんぜん進まないの。時効だから言っちゃおう。正直、『美男ですね』の当初の現場には「ダメだ、こりゃ。終わった!」の空気感が漂いまくりだったのよ。
スタッフの戸惑い、焦り、玉ちゃん本人もたぶん感じていたと思うわ。それでもやるしかなかったし、弱音なんて吐いてる時間はなかったしね。心が折れる音も聞いた気がするけど、撮影が進むにつれ、玉ちゃんが確実に変わっていったのが分かったの。
第1話と第3話を見比べてみるとその違いが分かると思うんだけど、特に最終回なんてもうびっくりするぐらい別人クラスの演技を魅せてくれて、バカなアツはもう涙止まらずよ。あの玉ちゃんのスポンジ魂ったら。どんどんガンガン何でもかんでも吸収して、たちまち自分のものにしていったの。いつしか顔つきも変わっていって、撮影中の真夜中だったかな。「やる、やれると思う。やってやる」とポツリと言って、それだけでもう感無量よ。
食べ盛りなのに食も細くなっていて、顔色も益々青白くなるしちょっと心配したけど、本当に最後まで立派にやり遂げたしね。玉ちゃんの成長には誰もが目を見張ったものよ。とか言ってアツはたいぴーたちと緑山スタジオで名物のタンメンを食べてお腹いっぱいにしてたけど。でもたいぴーも玉ちゃんの頑張りには感動してたし、あのクールなたいぴーが時にハラハラしたり、自らムードメーカーとなって現場を盛り上げて、さりげなく玉ちゃんのフォローをしてたのよ。最終回にゲスト出演したみっくんも安心した様子だったしね。ま、玉ちゃん自身は『美男ですね』に関しては「まだ見返せないよ。やり直したい所ばっかりだもん」とのことで自分には厳しめの採点なんだけど、10年前の熱い夏の日々のことは「びっくりするぐらい明確にいろんなことを覚えている」そうよ。
それからの玉ちゃんの俳優としての快進撃は皆さんご存知の通り。もうすっかり安心して見ていられるし、現場でも「主演なのに人見知りだからどうしていいか分かんない」なんて言いつつも、和やかなムードで撮影を進めているしね。2013年の『信長のシェフ』(テレビ朝日系)では初の単独主演を張って、慣れない京都での撮影にも全力投球。料理を勉強したり修学旅行の高校生たちに囲まれて大変だったよね。『ぴんとこな』(TBS系)では歌舞伎界のイケメン御曹司を演じるために日々、猛稽古をしたり、2015年『青春探偵ハルヤ〜大人の悪を許さない!〜』(日本テレビ系)の頃にはうっすら貫禄すら。
初主演映画『レインツリーの国』も堂々とこなして、すっかり役者の顔に。もはや成長も一段落かと思って油断していたら、何と湊かなえさん原作のドラマ『リバース』(TBS系)では今までとはまた違った顔を見せてくれて驚愕よ。その後も『重要参考人探偵』(テレビ朝日系)や、2019年には木村拓哉さんと『グランメゾン東京』(TBS系)に出演して、シェフ役も板についていて。コメントも余裕ありげで玉ちゃんの伸びしろって一体どこまであんのよ? って思っちゃったもの。本当にこんなに上へ上へと真っ直ぐに伸びていく人っているのね。
キスマイ10年目に関してはまたいずれ書かせていただくつもりなんだけど、玉ちゃん個人に関してはアイドルとしても、俳優としても、人間的にも、とてもじゃないけど追いつけないぐらいの勢いで大きく大きく羽ばたいてっちゃってて、もう手が届かな〜い。でも「失敗したからこそ学べることがいっぱいあった。この10年で自分なりに吸収できたこともあると思うけど、でもまだまだだよ。これからやることの方が多いと思う」とご謙遜。またまたぁ。
時に人を寄せ付けないようなクールさを持ちつつ、でもちょっかいを出すと諦めて「何? 何〜?」と擦り寄ってきてくれる子猫のような一面も。そんな彼が愛すべき子犬系男子を演じている『ボス恋』。これはある意味、役者生活10年間の集大成でもあるし、玉ちゃんの新境地でもあるだろうし期待大よね。「えーっ、本当にキュンキュンしてもらえてるのかな? 自信ないけど。でもとりあえず全力でやってるから。とは言っても結構、難しいんだけどね」と笑う玉ちゃんを見て、うっかりキュン死するところだったわ。危ない危ない。ちなみに子猫体質を持ってるだろう玉ちゃんだけど、彼は完全なる犬派なので、本物の天性の子犬系男子なのよね。
な〜にが難しいんだか。ワンワンキャンキャン、キュンキュンしながら見守りたい『ボス恋』。果たして恋は成就するのか? 『オー!マイ・玉ちゃん!恋はうちの別冊で』お願いしたいアツたちキスマイ担当班なのでしたぁ! あらま、『きょうのわんこ』風になっちゃったわ、お許しをね。
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