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1月16日(土)、ネパール出身の難民申請者の女性、バビタさんが東京入管の収容施設内にて部屋にあった大量の柔軟剤を飲んで自殺を図った。
バビタさんは難民と認められず、2年7カ月も収容されている。3度目の正月を迎えて彼女は精神的にも弱り果てていた。そんな時に、張りつめていた心がプツンと切れる出来事が起こった。
被収容者のフリータイムは16時30分までで、時間になったら部屋に戻りドアの鍵が閉められる。バビタさんは洗濯機をかけたまま部屋に戻り、衣類の中にテレホンカードが残されていたことに気づく。
東京入管では何故かKDDIのテレホンカードしか使えない。支援者から差し入れしてもらう貴重なものなので破損しては申し訳ないし、収容中はそのテレホンカードが母国にいる子供2人と話せる唯一のツールなので使えなくなるのは困る。バビタさんは通りかかった職員にカードを取ってきてもらえないかお願いをした。しかし、答えは「ダメ!」の冷たい一言であった。
「せめて洗濯機を止めるだけでも」と頼んでも「ダメ!」と言われてしまう。理由を聞いても「ルールだからダメ!」としか言われない。
バビタさんは洗濯機の操作ひとつ自由にならない自分の生活や、蓄積されたストレスなどで辛い気持ちが一気に押し寄せてきて号泣した。それでも冷たい職員の態度は変わらず、頭が真っ白になって、気が付いたら柔軟剤を飲んでいたという。
それから約1時間たってから、ようやく外部の病院に連れて行かれたが、「水と牛乳を飲めば大丈夫」とだけ指示され、治療らしい治療は受けられなかった。そのうえ収容施設に戻り、彼女は通称「懲罰房」「拷問部屋」と言われる独居房に5日間閉じ込められることになった。
部屋には毛布が5枚あるだけで他に何もない。また、洋式トイレは個室になっていないため、窓から廊下を通る被収容者や職員に見られてしまう。ここに入れられた人の大半は恥ずかしさからトイレを我慢してしまうが、バビタさんもそうだった。他の被収容者の話によると、部屋やシャワー室からバビタさんの泣き声がよく聞こえたという。
支援者が面会受付の職員に、バビタさんのテレカを取ってくれなかった理由を尋ねると、「被収容者の私物を職員が触ることはできない。壊してしまった場合、問題になるから」と返答したという。しかし、「それくらいで壊れないのでは?」と聞くと、今度は「ケースバイケースです」と、どうも腑に落ちない返事が返ってきた。
支援者はこう語る。
「バビタさんは11月あたりから、死をほのめかすようになりました。自分の子供も守れない状態だということで、よけいに自分を責めて追い詰めているようです。
どうしたら解放されるのか、何をしたら入管は許してくれるのか。自殺未遂をした後も面会しましたが、今も死ぬことしか考えられないと泣いています。
お腹が燃えるように痛いそうで、適切な処置を受けているとは思えません。収容者を対等な人間として扱い、敬意をもって接してほしいです」
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