「トランプ以前」のアメリカに戻るのか? バイデン政権で予想される経済政策の変化

文=斎藤満
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 国際金融資本が影響力を取り戻すことで、トランプ政権時に進んだ「カネ(金融資産)からモノへ」の流れが逆流し、再び「モノからカネ」に重点が置かれることになります。

 昨年11月以降、金価格が下落し、長期金利が上昇して金融株が相対的に優位を取り戻しています。財政拡張によって、これまで下がりすぎた長期金利を上げ、金融機関の利ザヤ拡大、利益拡大を狙います。

 そして国債の増発で金利が上がりすぎると株に負担となるので、これが上がりすぎないよう、FRB(連邦準備制度理事会)に国債の買い入れを増額させ市場に流動性をどんどん供給し、財政と金融当局が連携して景気拡大、株高を推し進めることになると見ます。株式市場はすでにこれを先取りして株を買い上げました。

 実際、FRBは27日開催のFOMC(米国版金融政策決定会合)の声明文に、「もし物価や雇用の目標達成を妨げる可能性のあるリスクが生じた場合、当委員会は金融政策の姿勢を適切に調節(つまり追加緩和)する準備がある」との一文を追加しました。

 もっとも、コロナ禍の経済では、接触が感染リスクを高めるために、接触型ビジネス、とりわけサービス業が窮地に追いやられます。その一方で食料、医療保健用品、その他生活に不可欠なモノの需要はあり、欧米でもサービス業の不振に対して製造部門は比較的好調です。

 世界の投資マネーはモノからカネに向くとしても、コロナ禍でのビジネスはサービスからモノに向かいます。

中国との融和は期待薄

 バイデン大統領は同盟国との協調のもとに、世界への関与を復活させると言います。しかし、軍産が勢力を盛り返すと、国際舞台での関与にも軍事的な介入が生じるリスクがあります。特にこれまで中国とは貿易戦争など、経済面で軋轢が強かったのですが、今後は台湾海峡、南シナ海での中国軍と米国との間で軍事的な緊張が高まる可能性があります。

 バイデン大統領はしばしば「親中派」と見られ、米中間の緊張が緩和するとの期待があります。しかし、今日の米国社会には広く中国への警戒感が高まり、情報通信面を中心に、米国への安全保障を脅かすとの危機感が募っています。

 そんな中で、すでに中国は戦闘機や爆撃機で台湾の防空識別圏を侵攻しています。これは米国の動きを探っている面もあり、米国の出方次第では中国軍の行動がエスカレートし、米中間の軍事的緊張を高めるリスクがあります。

 南シナ海での中国の軍事行動についても米国は神経質になっています。軍産は中国脅威論を利用して周辺国に軍事費の拡大、米国の武器購入を促す可能性があります。

 バイデン大統領は口頭で尖閣諸島も安全保障条約第5条の対象と伝えました。日本はバイデン政権とどう対峙するのか、早急に戦略を練っておく必要があります。

(斎藤満)

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