
Gettyimagesより
プロレスラーで元参議院議員の大仁田厚氏が、参議院議員の蓮舫氏について言及したツイートに批判が殺到している。
1月28日、大仁田氏は以下のようにツイート。
<#蓮舫議員に大変な人々
菅総理も大変だと思いますが
もっと大変なのは旦那さんでは?
私は3年間文科省の委員会で一緒で
あの頃から大臣もボコボコの質問攻め
反論すると
蓮舫爆弾が飛んでくる始末
私生活を見た事はないが
同じ男として
なんだか想像出来るのだ
ご苦労様です
旦那さん>
このツイートには「私生活は関係ない」「『プロレスラーは家でも暴力ふるってるのでは』と言ってるのと同じ」「仕事なのになぜ“男として”見て評価しているのか」「議員が質問するのは仕事として当然」と批判が集まった。
さらに同日、『スポーツ報知』に蓮舫氏の離婚を知らなかったことを指摘された大仁田氏は、その記事を紹介しつつ、<離婚されていたのを知らず報知に指摘されてしまった…ごめんなさい…>とツイート。これには「離婚しているか否かが問題なのではない」「謝罪するポイントがずれている」と呆れられている。
女性議員に向けられる「トーンポリシング」
Twitterでの指摘のとおり、議会での質問・追及は国会議員の仕事として当然である。蓮舫氏が家庭でも仕事と同様のふるまいをしているかはわからないし、そもそも家庭での姿は仕事とは無関係だ。
大仁田厚氏は蓮舫氏の仕事での態度を、想像の域である家庭での姿と重ね“男性として”評価し、夫に同情するしぐさを見せた。つまり「あんなに強く指摘するなんて女性としていかがなものか」という意味が込められているのだろう。ちなみに発言の内容ではなく態度や口調を非難し、論点をずらす行為を「トーンポリシング」という。
女性議員が直面する「ガラスの天井」
1月には大阪府の吉村洋文知事が新型コロナの感染者数が増えたことを「ガラスの天井を突き抜けた」と表現し、「言葉の意味が間違っている」とTwitter上で多く指摘がされた(その後、吉村氏は<記者会見では、いつ割れてもおかしくない状態を「ガラス」に喩えただけ>とツイート)。「ガラスの天井」とは本来、「実力や実績があっても、女性やマイノリティが上の地位に就きにくい障壁」の意味で使われる。
女性議員が仕事内容ではなく、”女性”としての態度や話し方を評価される。それはまさに「ガラスの天井」を示しているのではないか。
また女性議員の「ガラスの天井」は仕事内容が正しく評価されないことだけではない。議員および有権者からのセクハラもある。
2014年には東京都議会にて塩村文夏氏(現・参議院議員)が妊娠や出産に関する支援策について質問を行っていたところ、「自分が早く結婚したらいいじゃないか」「産めないのか」といった侮辱的なやじを受けたことは当時大きく報道された。
また、2019年にNHKが地方議員を対象に行ったアンケート調査では、約2万人の回答者のうち、議員によるセクハラ・パワハラが「ある」「ある程度ある」と答えた議員は約14%だった。
有権者からのセクハラも深刻である。町田市議会議員の東友美氏は、知らない男性から「付き合っている人はいますか?」というメッセージが届いたり、道で突然知らない男性に声をかけられ、初体験の話を聞かされる、また<「今すぐ◯◯(お店の名前)に来ないとお前(私)の支援止めるぞ」>という電話がかかってくるなどの行為に悩まされていることをTwitterに投稿している。
こういった迷惑行為があれば、女性議員が安心して活動することは困難であるし、「議員になると男性議員や有権者からセクハラを受ける」状態では議員になりたいという女性もなかなか数が増えないのではないか。
世界経済フォーラムが2019年12月に公表した「ジェンダー・ギャップ指数2020」では、日本は153カ国中121位。日本は教育・健康のスコアは高いものの、経済・政治のスコアが低く順位を下げている。
2020年1月時点で、日本の国会議員に占める女性の割合は衆議院9.9%、参議院22.9%であり、世界191カ国中165位、かつOECD諸国で最下位の水準だ。