「GPSでパートナーを監視」ストーカーやデートDVに発展する懸念

文=雪代すみれ
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Gettyimagesより

 「GPSアプリでパートナーの位置情報を把握したい」——そう考える若者も少なくないという。2月3日の『グッとラック!』(TBS系)では、パートナー間においてGPSアプリで監視をすることの是非について特集した。

 徳島県警・徳島文理大学が徳島県内の大学・専門学校に通う800人(18~25歳)を対象にした調査では、交際相手からGPSアプリで監視されることについて、「許せない」が52.1%、「やや許せない」が22.0%、「やや許せる」が15.6%、「許せる」が10.3%と、GPSでの監視を許容できる若者は約3割だったという。

 番組の取材を受けたお笑いタレント・キンタロー。氏は、GPSを「なくてはならないもの」と話し、夫婦でGPS情報を共有しているという。きっかけは同棲を始めた頃、夫が夜遊びで連絡がつかなかったり、腕に謎の歯形をつけて帰ってくるなどしたことから「不信感が募ったため」だそうだ。

 フランス生まれで若者に人気のGPSアプリ「Zenly」では、アプリを使用している者同士であれば、お互いの位置情報や滞在時間、移動速度、バッテリー残量まで共有できる。

 GPSアプリの利用者は、どういった点にメリットを感じているのか。番組が取材した街の声では「待ち合わせに便利」「浮気防止」「今電話してもOKかがわかる」「相手が何しているのか想像するのが楽しい」といった意見があった。

 キンタロー。氏も<良いことしかない>とコメント。浮気防止だけでなく、食事の準備をする際に、GPSを見れば帰宅時間がわかるためイライラが減ったそうだ。また、GPSアプリを入れることによって、「見られてマズい行動はやめよう」と意識が芽生えることもメリットだと語る。

 一方、番組のスタジオ出演者は反対派が多数。コメンテーターでノンスタイルの井上裕介氏は「つけたいカップルはつければいいと思う」と言及したものの、<彼女に内緒でプレゼントを買いに行くとか、サプライズで何かしようとしているときに全部バレちゃうじゃないですか>と猛反対した。

 同じくコメンテーターで2ちゃんねる開設者の西村博之氏は、例えば会社員が取引先や提携先を訪問した情報は株価に影響したり、機密情報でもあるため、「社員以外の人が社員がどこにいるのか知るのは問題」と指摘。<子どもが入れる分には全然いいと思うんですけど、大人が入れるのはどうかと思うんですよね>と述べた。

 一方、メインコメンテーターの田村淳氏は、地方からの仕事の帰りの空港から自宅までの間は、妻が料理を作る時間を計算するため、GPS情報を共有していると話す。

 Twitter上では「怖い」「GPSがないと成立しない関係ってそもそも信頼がないのでは」「何もないのにGPSを見ることで逆に疑ってしまいそう」と抵抗感のある声が目立っていた。

 西村氏は「GPSアプリで本当に浮気防止ができるのか」とも言及していたが、たとえGPSで居場所がわかったとしても嘘をつけば浮気は可能だろう。パートナーの過去に浮気歴があるなどで疑う気持ちも理解できるが、浮気でなくても自分だけの秘密にしておきたいことや、自分の時間を大切にしたいときもあるだろう。最初から浮気防止のためにGPSアプリをつけたくなってしまうならば、その不安な気持ちはどこから湧いてくるものなのか、向き合ってみてもいいかもしれない。

 またGPSアプリのメリットで「今電話してもいいか知りたい」という意見があがった点には、若者が異常にコミュニケーションに気を遣っていたり、「NO」を示されることを恐れているのではないかと感じた。

ストーカーやデートDVへの注意が必要

 身近になりつつあるGPS機能だが、ストーカーなど犯罪行為に使われる恐れもある。番組でもコメンテーターの髙橋知典弁護士が<今後、法規制の中で、GPSを使ったストーカー行為については法規制をかけるという議論になっているので、子どもたちにも自由に使わせるのではなくて、あくまで「大事な人と共有しなさい」って(言ってあげるのは)必要>と注意を促していた。

 昨年7月の段階では、元交際相手らの車に無断でGPSを取り付け監視することが、ストーカー規制法の「見張り」に該当するかが争われた裁判で、最高裁は当該行為は「見張りに当たらない」と判断。これには「被害実態に法規制が追いついていない」「ストーカーがやりたい放題になってしまう」と早急な改正を望む声がTwitter上で多く見られた。

 こうした声もあってか、今年1月に警察庁が公表したストーカー行為の規制に関する有識者検討会の報告書によると、相手の許可なくGPSによって位置情報を取得することが規制対象に新たに含まれた。

 パートナー同士で積極的に「GPSアプリを使用したい」と思っているならば使うのは自由だ。しかし、片方が強要すればデートDVになり得る点や、別れたあとにストーカー行為をするツールにならないかなど、使い方については十分に議論していく必要があるだろう。

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