セロテープⓇと言えばニチバン、ニチバンと言えばセロテープⓇ。セロテープⓇをご存知ない方はいらっしゃらないだろうと思いますが、では「セロテープⓇのテープカッターが最近ギザギザしていない」ことはご存知ですか。
セロテープⓇは大別して大巻と小巻がありますが、大巻(巻芯径76ミリ)は主に事務所や作業現場など、テープを頻繁に大量に使う際に設置する重くて大型のテープディスペンサーとセットで使われることが多いと思います。
対して小巻(巻芯径25ミリ)は、小型のプラスチック製テープカッターとともに、学校やご家庭でちょっとした工作や修理などに活躍しているのではないでしょうか。
セロテープⓇを切った絵を描こうと思ったとき、みなさんきっとテープの切り口をギザギザにして描かれると思います。過去、多くのテープディスペンサーやテープカッターのカッターバーツはノコギリのようにギザギザとした山型刃を持っていました。ここにテープを載せて穴を開け、その穴から引き割くようにしてテープを切っていたのです。これは金属刃でも樹脂刃でも原理的には変わりありませんでした。
変化が訪れたのは、2010年にニチバンが「直線美」という名の据え置き型テープディスペンサーを発売したときです。本製品は金属刃に山型のギザギザがありません。凹凸が少なく触っても痛くない、手が切れない、それでいてセロテープⓇが軽い力で真っ直ぐに切れる──画期的な製品でした。
以降、金属刃の「直線美」は据え置き型、ハンドカッター、小巻用のミニカッターにも採用され、切り口がまっすぐなテープカッターが増えていきます。
ただ、それらはテープ作業の多い方には福音だったと思いますが、プラスチックのテープカッターつき小巻を必要に応じて購入していた一般の消費者にとっては「特別なもの」だったようです。特に児童学童の工作や家庭内のちょっとした修理などに使われるセロテープⓇと、重くて場所を取る据え置き型のテープディスペンサーは相性が良くありません。
好きな場所に持って行って使い、テープがなくなったらテープカッターごと買い換えられて便利──小巻ユーザーは、この「切り口が真っ直ぐで安全なカッター」に触れる機会が少なかったのです。
ただ、「切り口が安全」は、こういった家庭でのユーザーにこそ必要なものでした。
ニチバンは2018年、セロテープⓇ小巻カッターつきをリニューアルし、「セロテープⓇ小巻カッターつき〈まっすぐ切れるタイプ〉」を発売します。プラスチックでできたテープカッターのカッター部分をギザギザの少ないタイプに改良し、直線美のように真っ直ぐ切ることができるようにした画期的な製品でした。
このリニューアルは静かに進行し、2020年終盤には従来の山型刃がついた小巻カッターつきは生産を終了。店頭では現在、〈まっすぐ切れるタイプ〉が主流となっています。
そしてこの〈まっすぐ切れるタイプ〉の波は、持ち運びに便利なセロテープⓇ小巻収納カッターつきにも届きます。それが今回ご紹介する「セロテープⓇ小巻収納カッターつき〈まっすぐ切れるタイプ〉」です。
本製品は小巻15ミリ幅のセロテープⓇが、透明なプラスチックでできた開閉式テープカッターに収納されている製品です。
本体はフルカバーで覆われており、埃や汚れが使用前のテープに付着することを防ぎます、また持ち運び時に、不用意にテープの粘着部分が別の何かに付着してしまうことも回避できます。
カバーは上に回転スライドさせるだけの、簡単オープン形式です。
カッター部分は〈まっすぐ切れるタイプ〉共通の、プラスチックで凹凸の少ない安全な刃を使用しています。テープを切る際には真上からテープを押しつけ、真下に引きちぎるのではなく、やや捻り気味にテープの右端あるいは左端から切っていくのがコツです。
製品には15ミリ幅の小巻が入っていますが、細い12ミリや太い18ミリを装着して使用することもできます。わたしは18ミリを常用しているので、製品内のテープが終わったら18ミリに換装しようかと思っています。
切り口は想像よりも真っ直ぐです。これからの子供たちは、テープの切り口がギザギザだったことを知らない世代になっていくのでしょうか。そういう子たちが描くテープの切り口は真っ直ぐなのでしょうね。そして大人がそれに慣れていくのに、どのくらいかかるのでしょう。興味深いところです。
ペットを飼われているご家庭でも、テープがすぐに埃や毛などで薄汚れてしまったご経験がありませんか。本製品はそういった収納時の汚れの心配もなく、またお子様がカッターで怪我をすることもありません。ご家庭で安心して使用できるセロテープⓇの決定版として、ぜひ一度お試し下さい。
(他故壁氏)