白髪はどうして抜いてはいけないの? ファッションカラーから白髪染めへ、移行期の悩みと重宝したアイテム

文=日々晴雨
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GettyImagesより

 加齢とともに誰でも増えていく「白髪」。最近はあえて染めずにグレーヘアでありのままの姿を見せるのが粋だという風潮もありますが、あれは放っておけば綺麗なグレーヘアになるわけではありません。この連載では30代前半から20年近く白髪と付き合ってきた女性ライターが、白髪の扱いに悩む世代へ向けて発信します。短期集中連載「私の白髪染め放浪記」。

白髪と私。30代前半からつきあいが始まった

 思えばずいぶんと長いつきあいになったものだ。白髪――。初めてその存在を意識したのは、30代前半の頃だったかと思う。頭頂部やサイドに白髪がチラホラ見え始めるようになった。そして、その頃は迷うことなくブチっと目立つ白髪を抜いていたものだ(白髪は抜いてはいけない。その理由は後半で)。

 30代前半のある日、友人の結婚式に出向くために髪型を美容院でゆるいハーフアップにセットしてもらった。その時に美容師さんが「目立つ白髪を隠しておきますね」といって、マスカラタイプの白髪染めを持ち出して、チャチャチャっと手を動かした。その様子を見ながら「あぁ、自分で見えないところにも、もうけっこう白髪があるのかも」と感じた覚えがある。

 けれど父も母も白髪が出たのは比較的早かったと聞いていたせいか、なんとなくではあるが「遺伝するんだろうなぁ」という覚悟があった。そのため、そのときもそんなに大きな驚きはなく、ただ「いつ頃から白髪染めにチェンジするべきなのだろうか」と来るべきその日のことについて考えを巡らせていたように思う。

 私の場合、もともとの髪色は少し茶色がかっており、瞳の色も同様だ。そのせいか、かなり明るめの茶色に染めることが自分にあっているような気がしていたので、学生時代からずっと明るめの茶髪を貫いていた。むろん若かりし頃にはおしゃれ染め、つまりファッションカラーと呼ばれる薬剤を使用して染めていたのだが、いったいそれをいつから白髪染めに切り替えたのか……はっきりした記憶ではないが、おそらく40代に入ってすぐの頃だったのではないだろうか。

白髪出始め期から私が愛用し続けるもの

 白髪が目立ち始めたのは30代前半と比較的早かったものの、そこからしばらくはマスカラ形状の白髪隠しにだけでなんとか切り抜けていた。いろんなメーカーのものを試したが、“塗るたびに徐々に白髪が染まっていく”というタイプのものが一番自分に合っていた。

 シャンプーをしたら染めた部分はほとんど色落ちするけれど、うっすらとだけは色が残る。何度も塗って回を重ねるごとに、白髪にほんの少しグレーっぽく色が入る。真っ白からグレーっぽく色がつくだけでも、髪の印象は大きく変わるものだ。ちなみにこのタイプはいまも重宝している。

 愛用はしているものの、このマスカラタイプ、とにかくペタっと付きすぎてしまうのが悩み。同じように感じている人も多いのではないだろうか。私は、あれはまつ毛用のマスカラと同じようなものだと思っている。買ってすぐはとにかく液が中にたっぷりあるため、軽くひと塗りでも驚くような量が髪についてしまう。そうすると髪がガビガビに固まり、見た目に美しくない。塗った直後、固まった部分にクシを通そうとすると、地肌に液がベターっとついてしまうので注意が必要だ。新しく買ってからしばらくの間は、髪に塗る前に液のついたブラシを一度ティッシュで軽くふき取るというひと手間を加えるのがいい。それをしてから髪につけると付け過ぎ防止になる。

 さて、ファッションカラーから、白髪染めに変えたきっかけだが、実ははっきりとは覚えてない。けれど、早くから「白髪がある」と自覚はあったので、美容室に行っておしゃれ染めのカラーをするたびに、「もうそろそろ白髪染めのほうがよくない?」と担当美容師さんに自分から問いかけていたように思う。30歳頃から40代前半までは同じ美容院に通っていたので、美容師さんとも長い付き合いだった。気ごころも知れていたから、訊きやすかったこともある。何度かの「まだ大丈夫ですよ」の返答を経て、あるとき「そろそろ白髪染めを使いましょうか」の返事があり、そこから白髪染めへ移行。「白髪染めの中でも、一番明るい色で染めてほしい」とオーダーして、私の白髪染め遍歴の第一歩が始まった。

美容師に聞く「白髪を染めるタイミング」「白髪は抜いちゃダメ?」

 この連載を始めるにあたって、何人かの年下の友人に「白髪染め」について思うことはあるか、と尋ねてみた。意外と多かったのが「ファッションカラーから白髪染めに変えるタイミングがわからない」というものだった。これについて、美容室「SHEA.青山店」(東京・表参道)代表の佐藤幸治さんに話を聞いてみた。

「分け目や生え際、もみあげ、そして頭頂部。この辺りに白髪が増え、周囲の目が気になり出したら、白髪を染めるなんらかの方法を考えたほうがいいかもしれません。“自分で気がついて染める”のほかに、“家族に指摘されたから白髪染めに切り替える”という方もいらっしゃいます。もし美容師側がそのタイミングをはかるとしたら、たとえばファッションカラーで染まらなかった白髪部分が毛先部分にも多くなり、カラーをしても綺麗な髪色にならなくなってきた時でしょうか。白髪が浮いた状態の仕上がりよりも、全体が均一に染まった方が仕上がりが綺麗になると判断した場合、白髪染めをご提案することもあるかもしれません」(佐藤さん)

 また、「白髪を抜いてはダメ?」「1本白髪を抜くと次にはえてくるときには3本の白髪になるってほんと?」と悩む声も多く聞いた。

「白髪を抜くと増える、というのは医学的には証明されてはいません。ただ、僕も白髪は抜かないでほしいとお客様にはお話しています。抜くと毛根が痛んでしまう。それが関係しているのか、次に生えてくる毛は“うねり”が強くなります。ただでさえ黒い髪の中にある白髪は目立つのに、うねっているとさらに悪目立ちしてしまいます。気になるようでしたら、抜かずにカットすることをおすすめします」(佐藤さん)

 昔はあんなに簡単にためらいなく白髪を抜いていた私だが、後に髪の毛の1本はどれほど貴重なものなのかを思い知ることになる。が、その話はまた次回としたい。

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