黒人史月間:Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~奴隷制

文=堂本かおる
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 昨年、警官による黒人男性ジョージ・フロイド殺害事件によりBlack Lives Matterがこれまで以上に大きく、激しく、広がった。全米で繰り広げられたBLM抗議デモはフロイド事件のみに対するものではなかった。幾度も幾度も際限なく繰り返される黒人への警察暴力に人々はもう耐えられなくなったのだった。

 近年のアメリカでは毎年約1,000人が警官により殺害されており、うち26%が黒人だ。米国の黒人人口比は13%であることから黒人への偏りが見て取れる。1,000人のうち実数では白人が黒人を上回るが、白人の全米人口比は61%ながら、警官による殺害事件の犠牲者の比率は50%に留まっている。

 黒人の犠牲者の中には、公園でオモチャの銃で遊んでいたタミア・ライス(12)、アニメのコスプレをし、小道具の刀を持っていたダリエン・ハント(22)、量販店で商品のBB銃を手にしていたジョン・クロフォード(22)、さらには自宅で就寝中に手違いで踏み込んだ警官隊に射殺されたブリオナ・テイラー(26)などが含まれる。

 ある分析によると、黒人男性と男児のうち、1,000人に1人が警察暴力により命を落とす可能性があるとされている。

 なお、上記のデータは警官による殺害のみであり、コンビニ帰りに地域の自警団を自称する男に殺害されたトレイヴォン・マーティン(17)、カーステレオのヒップホップがうるさいとしてソフトウエア開発業の男に射殺されたジョーダン・デイヴィス(17)、ジョギング中に元警官の男と、その息子に射殺されたアーマウド・オーブリー(25)の件などは含まれていない。また、重傷を負い、もしくは後遺症が残っても生き残ったケースは含まれていない。

 現代社会において黒人が警官だけでなく一般市民にすら殺され続ける理由を辿ると、アメリカ黒人史の出発点、奴隷制に行き着く。アメリカはヨーロッパから入植した白人がネイティヴ・アメリカンを虐殺し、土地を奪い、居留地に押し込め、アフリカから強制連行した奴隷に無償労働を強いたことによって栄えた国だ。アメリカはその豊かさを享受しながら、豊かさを得るために蹂躙したネイティヴ・アメリカンとアフリカン・アメリカンを今も虐げ続けている。

 奴隷制が残した禍根はあまりにも深く、黒人への強い偏見と差別を残し、黒人を社会から排斥(システミック・レイシズム=構造的差別または制度的差別)し、黒人への凄惨な暴力を現在に至るまで止められずにいる。それに対し、黒人たちは奴隷時代の蜂起や逃亡、後の公民権運動、そして現在のBLMと、満身創痍の抵抗運動をひたすらに続けている。

 本シリーズでは現代アメリカにおける黒人の状況を理解するための土台として、アメリカ黒人史を複数回に分けて記す。初回は奴隷制について。

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