2)浮き彫りになるミソジニーの問題
新しいSNSツールが浮き彫りにするのは、人種問題だけではない。Clubhouseが日本で話題になればなるほど話題に上がってくるのが、性差別問題だ。
実際社会の会議で女性が発言権を与えられにくいこと、そもそも意思決定の場から排除されていることは長年問題視されている。そこに加えて、男性が女性の発言を遮ったり、同性同士での「内輪ノリ」で盛り上がる構図は特にスタートアップやテック界隈においては日常茶飯事だ。
Clubhouseにおいても、男性同士の内輪の会話の中で女性を蔑むような発言があったり、若い人の発言が大人たちによって遮られたりすることも問題視されている(米国内では実社会でもIT企業が男性社会になっている。アプリで起きている問題は実社会を反映していると実感できる)。
Quoraでモデレーションを主導していたEstevez氏のスレッドや記事がプラットフォームとしてのClubhouseの問題点、そして改善方法について詳しく記載している。
「本質的な問題は、オンライン上でのミソジニーと、男性が社会的な会話の中で女性をどれだけひどく扱っているかということです。男性は頻繁に会話に割り込み、無礼な態度をとります。このようなことが起こらないような文化を確立するにはどうすればいいのでしょうか?」
「Clubhouseは、悪い利用者を排除するために、規約と文化の両方でこの問題に対処しなければならない。女性の声に耳を傾け、重要視することを奨励する必要がある。はっきり言って、初期利用者の技術者の男性の多くは聞き上手ではなく、女性の声を聞くことに価値を見出せていない。」
But I want to step back from the mechanics of moderation. The real problem here is online misogyny and how badly men treat women in social conversations. Men are often interruptive & rude. How do you establish a culture where this doesn’t happen? /9
— Tatiana Estévez (@Tatiana_Estevez) July 3, 2020
アプリのカルチャー上、「権威」を持った男性起業家などがトークの中心的立場を担いがちになってしまい、現実でのマンスプレイニングやカジュアルなミソジニーが明確に可視化されてしまうのだ。
Z世代のアクティビストのNadya OkamotoさんはClubhouseを積極的に使っていながらも、「ここまで話を遮られるのは、Clubhouseがはじめて」と発言している。彼女の場合は同世代の若者たちや女性、マイノリティなどを中心にしたインクルーシブなルームを作ったり、自分がマイノリティであるルームでも積極的に発言することで、Clubhouseで新たな連帯を産むことに努めている(https://twitter.com/nadyaokamoto/status/1354472568531648519)。
「大富豪たちに、私たちを”女性たち”と呼び、Clubhouseで発言権を独占するのをやめるように言った。私たちは大人の女性であり、喋るための権利をいちいち男性からもらう必要なんてない(すぐに部屋から追い出され、戻るために他の女性たちにDMを送らなきゃいけなかった……)」(https://www.instagram.com/p/CKuviOUHARh/)