ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。
要件を満たしているにもかかわらず、公的年金の「振替加算」が支払われなかったとして、支給対象外とされた7名が国に対して訴訟を行ったところ、判決を待たずに国が全額支給していたという報道がありました。
「公的年金は2階建て」という言葉や、1階部分が老齢基礎年金、2階部分が老齢厚生年金というところまで知っている人は少なくないと思います。では、プラスアルファの給付である「加給年金」「振替加算」はいかがでしょう?
今回は、公的年金の「加給年金」と「振替加算」の原則を簡単に解説していきます。
「加給年金」とは年金の扶養手当?
老後に受け取れる公的年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金だけとは限りません。老後に65歳未満の配偶者や子を養っていれば上乗せの給付を受けられる可能性があります。これを「加給年金」といいます。
会社員としてトータル20年以上働いていて、その間厚生年金に入っていれば受給できる可能性が大きいです(一部20年未満でも該当することもあります)。
65歳で公的年金を請求したときに、その方が配偶者や子を養っていれば届出により加算されます。
養っていることを「生計維持」といい、その基準は次の通りです。
・同居していること(別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます)。
・配偶者・子の前年の収入が850万円未満であること。または個人事業主などは所得が655万5千円未満であること。
金額(年額)は次の通りです。
・配偶者:224,900円(65歳未満までの配偶者)
・1人目・2人目の子:各224,900円(原則18歳到達年度の末日までの間の子)
・3人目以降の子 :各75,000円(原則18歳到達年度の末日までの間の子)
昭和18年4月2日以後生まれの配偶者には、さらに特別加算額166,000円(年額)がプラスされます。
「加給年金」は独身でなければ要件を満たす人が多いことから、しばしば年金の扶養手当と表現されます。
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