
Gettyimagesより
音声会話をベースとしたSNSアプリ「Clubhouse」が日本でも爆発的な人気を得ている。しかし、前編で紹介した通り、アプリが差別やヘイトスピーチを助長し、権威主義的なコミュニティになりがちだと問題視されている。その原因として、アプリの構造や、ユーザーによって形成されるカルチャーの影響が指摘されている。
Clubhouseが差別の温床になっている? 米国で問題視されている人種差別、性差別、デマ・誤情報の流布
ここ数週間ほど日本では音声会話をベースとしたSNSアプリ「Clubhouse」が爆発的な人気を得ている。 しかし米国では、Clubhouseには差別や…
1)アプリの構造から発生する権威主義
Clubhouseの決定的な特徴といえば、「招待制」であることだ。ユーザー1人に与えられる招待枠は限られており、その招待がもらえないとアプリを使うことさえできない。
このように人工的に作られた希少価値によって、「枠を持っている人」vs「枠が欲しい人」の不均衡な関係が成り立つ。さらに、Clubhouseは元々ベンチャーキャピタルやテック系の起業家、そしてハリウッドセレブなどを初期ユーザーに迎えており、それら「権力者」たちやその取り巻きとネットワーキングできることが一つの魅力とされている。
すでに日本でもオンラインサロンや女性蔑視的な起業家カルチャーが問題視されているが、そのような害悪なカルチャーを形成してる人々たちが話題の中心を握れるアプリでもあるのだ。そのことを認識せず、「乗り遅れるのが嫌」とばかりに、日本でClubhouseが手放しに称賛されていたことに違和感を抱いた人も多いのではないだろうか。
Clubhouseでは、モデレーターによって選ばれ発言権が与えられる「ステージ上の人」対「リスナー」という構造が可視化されている。日本のコミュニケーションでは上下関係を厳しく守る文化があるが、このしきたりがClubhouseの権威的なカルチャーを加速させる可能性もある。
発言している人たちが内輪ネタで盛り上がっていたり、質問を受け付けていない場合は、手を挙げてコメントすることは非常に躊躇われてしまう。「経験のある人」や「知名度のある人」が発言権を持ち、参加者がそれを聞くという形式が一般的であるが、その「成功者」のアドバイスが間違っていることも当然多い。しかしアプリの構造上、コメントやシェアができない。つまり、スピーカーの言葉に対して反論や訂正、軌道修正ができないのだ。