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筆者は低用量ピルを飲む前、非常にPMS(月経前症候群)に悩まされた。通常時の1.5~2倍の食欲、些細なことでも噴火レベルのイライラ、イライラしたことへの自己嫌悪……生理痛も重かったため月の半分以上は何かしらの不調を抱えていた。毎月のように精神的に不安定になり、「どうして自分はこうなんだろう」と落ち込み、生理痛が辛いにもかかわらず、生理が来るとPMSから解放されることにほっとして泣いたこともあった。
2月10日放送の『あさイチ』(NHK総合)では、「女性のこころとホルモンバランス」について特集。女性はもちろん、性別関係なく知っておいたほうがいい、心と体に関する大事な内容だった。番組の内容を振り返る。
生理のある女性たちは、どういった不調を感じているのか。視聴者からは「生理前や、妊娠中、育児中にちょっとしたことでイライラしてしまうことがある」「動機や目眩、睡眠障害で辛い」などの声が。ゲスト出演のバービー氏も「飼いならせないモンスターを飼いならすように、自分の中でコントロールがつかないときがある」「37歳だけれども、未だにどうすればモンスターに打ち勝てるかわからない」と、ホルモンバランスとの付き合い方の難しさを語った。
女性がホルモンバランスの影響を強く受けるタイミングは大きく分けて3つある。一つは生理による影響。抗うつ作用のある「エストロゲン」と、抗不安作用のある「プロゲステロン」が生理前になると減少することから不調を感じやすく、PMS(月経前症候群)や、PMDD(月経前気分不快障害)の症状が生じる。
番組で取材を受けた女性は、子どもが言うことを聞いてくれないときに感情のコントロールが難しく子どもに当たってしまい、その後に自己嫌悪で激しく落ち込んでしまった体験談を話していた。あるとき、生理前になると感情が不安定になることに気づき、婦人科を受診したところPMSと診断され、処方された薬を飲んで症状は落ち着いたという。
番組に出演した産婦人科医の高尾美穂氏からは、<生理前だと自分で理解して「生理前だからこうなんだよね」というような自分なりの納得をしてもらえるといいんじゃないかなと思う>というアドバイスがあった。
二つ目は出産による女性ホルモンの変化。妊娠中は女性ホルモンが最大で通常時の数百倍になることもあるが、出産後には大きく減少し、数日でほとんどなくなってしまう。この急降下の影響を受けるのが「産後うつ」である。
さらに産後うつは従来10人に1人程度といわれていたものの、新型コロナの影響で4人に1人と増加傾向にあるとの調査や、産後うつ状態の母親の3分の2が、自分のうつ状態を自覚できていないともいわれている。
コロナ禍で増加の「産後うつ」、実家を頼れず周囲との交流もなく孤立しやすい環境
2月9日放送の『グッとラック!』(TBS系)で、「産後うつ」の特集があり、Twitter上で共感を呼んでいる。 2013年の厚生労働省の調査による…
とはいえ、出産後は育児に追われ、自分の不調に気づくのが難しい場合も少なくない。番組では抑うつ状態に気づくポイントを紹介。どちらかに当てはまる場合は、こころの不調を抱えている可能性がある。
<過去1か月で しばしば気分が落ちこんだり 絶望的になったりして 悩んだことはありますか?>
<過去1か月で しばしば何かをするのに興味をなくしたり 楽しくなくなったりして 悩んだことはありますか?>
三つ目は更年期によるもの。平均的に40代後半になると女性ホルモンが減少、閉経直前には乱高下する。2017年の厚生労働省の調査によれば、女性でうつ病などの気分障害の患者数がもっとも多いのは40代。ホルモンの急激な変化に加え、育児や介護など家庭でも、仕事でも負担があり、うつ病になりやすいと考えられている。更年期の症状の治療方法としては、①ホルモン補充療法、②漢方療法、③エクオール(大豆由来のエストロゲンに似た成分)の摂取があるという。
女性も周囲も知ることが第一歩
ホルモンバランスによるこれらの症状は、高尾医師も<まず女性がこれだけの変化を自分がしていることをあまり知らない>と述べており、自分の不調の理由がホルモンにあると気づかない女性は多いだろう。男性はなおさら想像するのが難しいかもしれない。
番組では女性たちが「辛いときに家族やパートナーにどうしてほしいか」も紹介。<共感してほしい 怒らないでほしい><「大げさな事」だと思わないでほしい><いつも以上に気づかってほしい><いつもと変わらず接してほしい>など、望む対応は人によって、また時と場合によって異なるようだ。
MCの博多大吉氏は<「解決策がほしいというよりは気持ちに寄りそってほしい」というのがあっ!と思いました。「どうしたらいいの?」と言いがちじゃないですか。それじゃないんだなって>と述べ、バービー氏は<個々人で差があるなと思ったけれど、私のイメージは全部自分の中にあるような感じ。かまってほしくないときもあるし、「かまわないで」と言った5秒後に「なんでかまわないの?」というようなよくわからない不安定さを自分の中に抱えちゃって>と、ホルモンに振り回されるイメージをより具体的に伝えた。
辛そうにしているパートナーを心配しているものの、どうしたらいいかわからない人もいるだろう。番組では「辛いときに家族やパートナーにされて嬉しかったこと」の声も紹介。<夫と娘に「生理前だからイライラします」と伝えたら見守ってくれた><生理前になると必ずチョコが食べたくなる 夫もそれに気づきやたらと買ってきてくれた>など何かしたら理解しようとしたり、寄り添おうとしたりすることが支えになるようだ。
また、番組が取材した男性医師は<私も含めて自戒だけれども、我々の態度、言動が妻にストレスを与えているのでは?そういう意識はかなり持ったほうがいい><「生理だからつらくてもしかたないじゃん」そんなふうに言わずに、しんどい時は受け止めることが大事>と助言。
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