
兼近大樹Instagramより
お笑いコンビEXITの兼近大樹が、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視問題について自論を述べ、物議を醸している。
兼近は2月11日、コンビで司会を務める番組『ABEMA Prime』(ABEMA TV)に出演。番組では、森氏が辞任の意向を固め、後任には川淵三郎氏の名前が挙がっているという話になり、ネットユーザーたちの「国民の五輪、辞任は当然」「発言はダメだけど、寄ってたかって叩くのどうなの?」といった意見が紹介された。
これに対し、りんたろー。は、「五輪を成功させる」という最終目的を見失ってはいけないとコメント。
<見失っちゃいけないのは、本来の目的はネット上でつるし上げて抹殺することではなく、オリンピックを成功させる、偉大なイベントを成功させるのが目的なんだと。そのために最善で最短の策をとることが重要であって、そこの目的だけ間違えちゃいけないと思う>
一方、兼近は森氏を批判するネットユーザーは「攻撃すること」が目的になっているとの自論を述べた。
<何よりも今回で気持ち悪いなって思うのが、自分が被害の及ばない所から石をひたすらぶつけて『降ろしてやったぞ』と。目的が引き下ろすというか『なんか偉そうなジジイを俺が降ろしてやったぜ』みたいな感じがすごい伝わってくる。ほんとに見失っちゃってんなっていう。ただただ攻撃することが目的になっちゃってる>
<もちろん発言自体は許されることじゃないかもしれないですけど、『ほんとに全文聞いたのか?』って。全員がすべて聞いたわけじゃないと思うんですよ。ただ誰かが言ってるから『こんなひどいこと言ってんだ』っていう切り取りの文字を読んで、攻撃してる人も沢山いるなって感じたんで。そういう意味では、そろそろ終わりにしたいなって。どうせ代わってもまた粗探しして、みんな攻撃したいんだから。目的をみんあそれぞれ、どういう意志を持ってやってるのかという部分をちゃんと考えてほしい>
この兼近の発言に同意する声もある一方、「森氏を擁護している」「差別されても黙ってろってこと?」「相手は公人なんだから批判されるのは当たり前」など異論も多数出ており、波紋を広げている。
兼近は、今回の森氏の女性差別発言への批判を「自身のストレスを解消するために森氏を叩いているだけ」と認識したようだ。しかしそれは誤解ではないだろうか。
森氏の発言の全文を読んでも、そこにあるのはれっきとした女性蔑視であって、擁護できる内容ではなかった。また、その後の会見でも記者に逆ギレするなど、自身の発言の何が問題視されているかを理解しようという姿勢も見られない。このまま見過ごせば、また同じような問題が起こり、東京五輪への世界的な信頼をさらに損ねることになっただろう。
ネットで吹き荒れる嵐を何でもかんでも「誹謗中傷」「叩き」「炎上」というワードで丸め込むと、本質を見失ってしまう。誰かの容姿を貶めたり、死ね・殺すといった誹謗中傷や脅迫と、差別に対してNOを突き付け批判することは同じではない。東京五輪組織委員会の会長である森氏の不適切な差別発言に批判が起こり、辞任に至るという流れは至極もっともではないだろうか。
なお、兼近は12日、Twitterで<昨日の兼近の発言。ネットの切り取りでブチギレしてる人に向けたコメントであって、発言は、チャラ男的にアウトだと言ってるぜ?>と釈明している。
森氏は辞任を表明するようだが、これで問題が解決したわけではない。日本社会には森氏の発言のような女性差別が様々なところで根付いている。女性差別問題は「男VS女」ではなく、差別を許すか許さないかの問題だ。今後も一人ひとりが差別と向き合っていく必要があるだろう。