同じ本の読者とマッチングするサービス『Chapters bookstore』でライトノベルの読書体験と交流を試してみた

文=原宿なつき
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GettyImagesより

 こんにちは、原宿なつきです。先日、マッチングアプリで出会った人と結婚しました。マッチングサービス様さまです。

 さて、そんな私のもとに、マッチングサービス『Chapters bookstore』を体験しませんか? という依頼が舞い込んできたのですが、いかんせんこっちは既婚者。いや、もうマッチングサービスは使えんのです……と思い、断ろうかと思いましたが、よくよく聞いてみると、「既婚者でもOKの、同じ本を読んだ人同士が語りあうサービス」とのこと。

 読書会などに憧れていた(でも自分から積極的に探す気力はなかった)こともあり、早速、試してみることにしました。

 本記事は、『Chapters bookstore』さまからの依頼ではありますが、『Chapters bookstore』さまからは一銭もいただいておらず、正直なレビューを書かせていただくことを条件に体験した記事です。

最初の感想。ホームページがわかりにくい

 最初、スマホで『Chapters bookstore』のマイページにログインしようとしたのですが、見辛かったので、パソコンで見ることにしました。2020年12月に始まったばかりのできたてほやほやのサービスということもあり、サイトのユーザビリティに関しては、まだまだ改善の余地があるなと感じました。

『Chapters bookstore』とはどんなサービスなのか

 『Chapters bookstore』は月額制のマッチングサービスであり、本屋でもあります。毎月選書された4冊のなかから1冊を選ぶと、本が自宅に送られてきます。その後、同じ時期に同じ本を読んだ人同士が繋がって、本の感想を共有できるビデオチャット(Zoomみたいなもの)に参加することができるのです。

 マッチングサービスというと、主に男女の出会いの場、というイメージがあるかと思いますが、『Chapters bookstore』は違います。性別、年齢、パートナーがいるか否かを問わず、「本が好きな人同士が本について語り合える」という、今までありそうでなかったサービスなのです。

いざ、トライ! 最初に送られてきた本は…

 会員登録を済ませると、あとは本が送られてくるのを待つだけです。ワクワクしながら待っていたところ、最初に届いた本は、朝井リョウさんのエッセイ集『風と共にゆとりぬ』(文藝春秋)でした。

 朝井さんのエッセイ集は読んだことがなかったので、といいますか、朝井さんの小説も読んだことがなかったので(読書好きとか言っておきながらすいません)初の朝井体験となりました。結果は……え、おもしろ!! 5ページに一回くらいの頻度で声を出して笑ってしまいました。エッセイでこんなに声出して笑うってあるの??? 自分的にかなりのヒット本でしたが、自分では絶対買うことはなかっただろうなー。そう思うと、『Chapters bookstore』おそるべし! です。

 『風と共にゆとりぬ』を読んだ人と語り合うのを楽しみにしていたのですが、ぼんやりしていたことと、マッチング申請方法がよくわかっていなかったこともあり、いつのまにか、マッチング期間が過ぎてしまっていました。

この本、無理…

 翌月に送られてきた本はいわゆるライトノベルでした。読みやすくて一晩で読みました。が、主人公の視点やヒロインの媚びた様子が受け付けませんでした。正直にいうと、出てくるキャラの数人に虫酸が走りました。特に、ヒロインが常に目をうるうるさせて見上げてくる感じが……。

 その日はよく眠れませんでした。なんでこの本が、44刷もされているのだろうか……。ここ数年で一番受け付けない本でした。

 困った……。今月こそは、マッチングして本について語ろうと思っていたのに、この本の感想といえば、「なんか全体的に男性が一方的に女性に理想を仮託する妄想っぽい話で受け付けない」というのが素直な気持ちだったのです。

 でも私は、マッチングサービスを申請しました。他の人がこの本をどう読んだか知りたいと思いました。

マッチング当日。予想外に楽しかった!

 オンラインチャットの日時が決まると、当日会話する相手の詳細が事前に送られてきました。

 ただし、お相手の名前や顔はわかりません。おおまかな年齢(20代、など)と、ニックネーム、性別、既婚か未婚か、パートナーはいるか、ベストブックはなにか、どれくらいの頻度で本を読むか、のみがわかる仕様になっています。私がマッチングしたのは女子2人でした。事前にお相手のプロフィールを見て、私の好きな本をベストブックに挙げている人がいたのでテンションが上がりました。

 当日、時間になると、サイトからビデオチャットが始まるわけですが、その前に、代表の森野さんによる注意事項の説明動画が流されます。

 注意事項は4つ。

1) 最初の10分は顔が見えない

2) 相手が現れない場合は、10分で強制終了になる

3) 居心地が悪いと思ったらエスケープボタンで退出可能

4) 20分終了したあと、連絡先交換OKかという質問が表示され、お互いがOKだと連絡先交換できる

 最初の10分、顔が目えない状態でお話する、というのが、ロマンティックというか、おしゃれだなーと思いました。説明動画が終わるころには、かなりドキドキし始めていました。まったく知らない人と話すのかーと思うと……。緊張しながらも、いざ、ビデオチャット開始です!

 実際に会話が始まると、最初は、相手が見えない状態での会話になります。会話の糸口になるような質問事項が画面上部に表示されるので、会話は途切れることなくスムーズに進みました。本の感想については、正直に苦手なところを伝えたところ、一定の共感が得られましたが、「すごく面白い!」「主人公に共感した!」という意見も出ました。自分とは違う角度で読んでいる人がいると知ることができ、一歩深い読書体験になったと感じました。

 20分はあっという間で、「え、もう終わるの?」という感じでした。とても楽しく会話できたので、連絡先交換OKのボタンを押しておいたところ、すぐにメールが始まり、楽しく交流することができました。

 送られてきた本が自分好みとは異なったので、会話が弾むか心配でしたが、予想外に素敵な体験となりました。

正直、また利用したいし、友達に勧めた

 『Chapters bookstore』は、1「自分が普段選ばない本と出会える」2「本好きの他人と語り合え、さまざまな視点が得られる。もしかしたらそこから交流が生まれるかもしれない」というふたつの魅力のあるサービスだと思いました。

 とても楽しい体験だったので、終わった後、早速友達にお勧めしておきました。

 すごくいいサービスなのに、サイトが見にくいところが難点です。一回使ってしまえば問題ないとは思いますが、現状のUIだと新規登録のハードルが高いと思うんですよね。広まってほしいサービスなので、今後に期待したいと思います!

(原宿なつき)

▼Chapters bookstore
https://chapters.jp/top

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