坂上忍氏「ブース!」着ボイスをフジテレビ削除 「ブス嫌い」を喜んでいたメディアと視聴者たち

文=雪代すみれ
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『バイキングMORE』公式サイトより

 フジテレビコンテンツストアで配信されていた坂上忍氏の着ボイスが「不適切な内容が含まれている」ため削除されたことが、今月17日明らかになった。

 着ボイスには<ブスは嫌い! ブスからの電話はとりませ~ん><ブース! ブース! ブース!><好きなタイプは美人! 嫌いなタイプはブス…>といったものがあり、「まだこんなものが配信されていたなんて」「坂上忍だけじゃなくて制作側の感覚もどうなってるの」などTwitter上で批判が集まっていた。

 また、坂上忍氏はMCを務める『バイキングMORE』(フジテレビ系)で森喜朗氏の女性蔑視発言を取り上げた際には、「呆れるしかない」とコメントしたり、組織委員会の体質も批判していた。

 そのためネット上では過去の坂上氏の発言を取り上げ「自分は“ブス”を連発して売れたのに」「自分が女性に酷いことを言ってきた過去を謝罪することなく森さんを批判するのか」「女性の容姿批判していたのにダブルスタンダードでは」と厳しく指摘・批判されている。

坂上忍氏の「ブス」を支持してきた視聴者

 坂上忍氏は、2012年に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)で「ブスは嫌い」などと発言したことがウケ、“毒舌キャラ”として再ブレイクした。その後に出演した『アウト×デラックス』(フジテレビ系)では、「女は顔だ!」「ブスは嫌いなんですよ」「ブスは家から出るな」などと暴言を吐き、さらにファンを増やしていった過去がある。暴言が毒舌として喜ばれる時代だったのだ。

 当時の坂上氏は女性嫌悪も強く、『バイキングMORE』の前身である『バイキング』(フジテレビ系)で、2017年に#MeToo運動の発端となったハーヴェイ・ワインスタイン氏の性的暴行について特集した放送では、<ワインスタインさんがやったことは確かに悪いことなんですけど、逆もありでしょう、女優さんのほうから実力者に>と性暴力の話を“枕営業”の話にすり替え。2018年の同番組でレギュラー出演者の松嶋尚美氏が#MeTooの声をあげる女優たちの服の「露出度が高い」と指摘したことに対し、坂上氏も<セクハラ、ダメだろって言ってるわけだからね>と同意するなどしたこともあった。

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坂上忍氏「ブース!」着ボイスをフジテレビ削除 「ブス嫌い」を喜んでいたメディアと視聴者たちの画像2 ウェジー 2017.10.19

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坂上忍氏「ブース!」着ボイスをフジテレビ削除 「ブス嫌い」を喜んでいたメディアと視聴者たちの画像2 ウェジー 2018.01.12

 坂上氏が“再ブレイク”したのは、坂上氏が女性を「ブス」と言う“毒舌キャラ”を面白いと感じる視聴者が多かったからであり、『バイキング』でセカンドレイプ的なやりとりが放送されていたのも、当時はそういった意見が視聴者に支持されていたからでもあるのだろう。

 最近の坂上氏は露骨なルッキズムや女性蔑視発言をすることはめっきり減り、当時とは正反対の意見を述べることも多い。世論の風向きを読み取っているだけなのか、彼の考え自体が変わったのかは不明だが。

 芸能人がルッキズム発言や女性蔑視発言でウケてお茶の間の人気者になってきた背景には、その言動を楽しんでいた視聴者がおり、重宝してきたメディアがある。だが現在、フジテレビが坂上氏の着ボイスを不適切と判断して削除したのは、社会全体の価値観の変容を示しているのかもしれない。

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