ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。キャッシュレス決済がますます拡大しています。数年前までは、キャッシュレス決済のお得度と便利さについて言及すると、他人事のように思ってしまう人やキャッシュレス推進に猛反対の人が少なからず存在していました。でも、着実に拡大し続け、今では定着してきた印象すらあります。
今回は、キャッシュレス決済の普及と注意点について考えていきましょう。
現金決済の低下
「知るぽると」(金融広報中央委員会)が毎年行っている「家計の金融行動に関する世論調査」2020年の結果が公表されました。
調査結果の中から、デジタル化の流れ、キャッシュレス決済について注目してみまししょう。
二人以上世帯、単身世帯に分け、1,000円以下、10,000 円超50,000 円以下の金額帯に対して、「クレジット・カード」「現金」「電子マネー」の中からどの手段で決済しているかを調査しています。
大きな特徴として、すべての世帯と金額帯において、「現金」の割合が低下している、つまり、「クレジット・カード」「電子マネー」決済が増えていることがあげられます。金融広報中央委員会は「消費税率の引き上げに伴うポイント還元制度がキャッシュレス化を後押しするきっかけに。新型コロナウイルスの感染拡大がキャッシュレス化の推進に影響した可能性も」としています。
金額帯ごとに見てみましょう。
<10,000 円超50,000 円以下>
10,000 円超50,000 円以下という比較的大きな支払いでは、二人以上世帯、単身世帯ともに「現金」が約3割に留まっています。ほんの4年前には、二人以上世帯で5割を超えていたので、「現金」の減少幅は非常に大きいといえます。
この価格帯では、「クレジット・カード」の割合が7割前後と最も高く、「電子マネー」の割合が最も低くなっています。低いとはいえ、4年前と比べると約3倍になっているので、10,000円以上という金額に対しても電子マネーが伸びてきていることがわかります。
これまで大きな買い物には主にクレジット・カードを使い、電子マネーを使わない傾向がありました。しかしクレジット・カードは微増、電子マネーは大きく増加しています。現金は低下の一途にあります。
<1,000円以下>
この価格帯は、コンビニエンスストアなどでの買い物でも多い日常的な決済といえます。「電子マネー」の伸びが顕著で、二人以上世帯では2,3年前の約2倍に、単身世帯では3割に届きそうな勢いです。「クレジット・カード」も着実に増えています。
一方、「現金」の割合が大きく減っており、4年前と比べると約2割の減少です。とはいえ、1,000円以下の金額帯だと「現金」の割合が最も高く、二人以上世帯で70.8%、単身世帯で63.2%です。
「小さな金額の支払いにクレジット・カードは使いにくいし、現金で払う」という声は根強かったのですが、スマートフォンで使うことができる電子マネー、特にQRコード・バーコード決済の普及に伴い、現金の割合が減っていると分析できるでしょう。同時に、「少額なら現金で」という感覚が薄れ、クレジットカードも伸びていると予想しています。
1 2