キャッシュレス決済は本当に現金よりリスクが多い? 大きな買い物でも電子マネー増加傾向

文=川部紀子
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キャッシュレスの普及をどうとらえるか

 データからキャッシュレス決済が確実に普及している現実がわかります。まだ避けて通れないとまでは言えませんが、そろそろキャッシュレス決済拡大の現実を受け入れる時期ではないでしょうか。

 現在キャッシュレス決済には、使うたびにポイントやマイルが貯まり、後に「お金」として支払いに使うことができるお得があります。さらに今後はキャッシュレスなら◯%還元などの実質割引や、現金払い不可という場面が出てきてもおかしくないと思います。

 高齢になり判断力が弱くなってから挑戦するよりは、キャッシュレス手段を通常の「お金」として現金同様に扱うことに慣れておくことも有用だと考えます。

キャッシュレス決済のリスクは?

 キャッシュレス決済手段の活用を躊躇する理由として、さまざまなリスクをあげる方は少なくありません。

 しかしキャッシュレス決済を利用しないことで回避できるリスクはないと考えましょう。むしろ盗難や紛失については、現金の方が失くしてしまえば足がつかないので、戻ってくる可能性が低い、つまりリスクが高いという考え方もあります。

 実際に、スマートフォンによるキャッシュレス決済どころかクレジット・カードも使っていない人が被害にあう事件がありました。勝手にスマホ決済のアカウントが作成され、普通預金からの自動引き落としに指定している銀行口座からお金を抜き取られたのです。自動引き落としをしていない人はほぼいないでしょうから、誰でも間接的なキャッシュレス関連被害にあう可能性があり、対策はないということです。

 ただし、現状これらの事件での不正利用に関してはすべて補償されています。キャッシュレス決済の手段を利用する予定の人もすでに使用している人も、銀行口座の明細、クレジットカードと電子マネーの利用履歴を頻繁に確認するようにしてください。

 明細、履歴の確認頻度に正解はありませんが、月に一度郵送やメールで届くものを確認するのでは少ないと思います。1カ月も前のことはなかなか覚えていられないからです。

 今ではスマホ通帳もありますし、クレジットカードと電子マネーはアプリ等で随時確認が可能です。筆者は、スマホを触るついでに見るほどの感覚ですが、それでも「あれ?この支払いは何だったかな?」と考えてしまうことが多々あります。

 もし身に覚えのないものが見つかったらすぐに問い合わせをしてください。各会社に問い合わせ窓口が用意されているはずです。

まとめ

 日本には根強い現金信仰があります。またどんな場面でもキャッシュレス決済がいいというわけではなく、大きな地震や水害など、災害に伴う停電には現金がもっとも強いという側面もあります。

 現金とキャッシュレス決済それぞれの性質やリスクを理解しつつ、両方を同じ価値のあるお金として使いこなす力や金銭感覚が必須になる。そんな時代が到来したと言えるのではないでしょうか。

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