水道橋博士の「美人なら読書しなくてもいい」が誉めているつもりでも女性蔑視になる理由

文=雪代すみれ
【この記事のキーワード】

「人を蔑まないこと」と「笑い」は両立する

 水道橋博士氏は、金澤朋子氏を褒めるつもりで例の投稿をしたのだろう。それでもなぜ女性蔑視になるのかというのは、番組で伊沢氏が解説したとおり、「美人なのに○○」という属性による決めつけだからである。女性蔑視というと「女は○○できない」「○○な女はブス」などストレートに蔑んでいる内容と思われがちだが、女性蔑視には“女神化”という側面もある。女性を人として対等に扱わないことが問題なのである。

 お笑いの幅が狭まるとの主張を曲げなかった志らく氏は、<本当に誰かを傷つけるようなことは言ってはいけないんですけれども「こんなのシャレだよ」っていうのもありますし>とも言っていたが、「自分はシャレのつもりでも人を傷つける可能性がある」「無意識でも差別発言をしてしまうことがある」というのが今回の特集のテーマではなかったのだろうか……。

 今月15日の放送でも田村淳氏の「森アレルギー」発言が問題視されたことについて、志らく氏は<「森アレルギー」ぐらいはコメンテーターとしてはどうなのかってあるけれども、コメディアンとしてはいくらでもありというのが私の中ではありますよ。そんなこと言ったらお笑い人は何のギャグも言えなくなっちゃう。お笑いって時には人を傷つけることもあるしね、色々なパターンがあるから、「森アレルギー」だってどっとウケればね、で、攻撃受けてきたら「シャレのわからないやつ」だなって一言(いえばいい)>と発言していたが、聞き手の受け取り方の問題にせず、発信側として安心して見られる笑いを追求してほしい。
 
 お笑いの中での差別的表現は徐々に見直されてきている。例えば、2017年に放送された『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP【タモリたけし&みやぞん】』(フジテレビ系)では、石橋貴明氏が演じる「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」というキャラクターを復活させ大炎上した。昔は保毛尾田保毛男を見て笑っていた人は少なくなかったのだろうが、今は「笑えるものではない」と違和感を覚える人も多いのだ。では「保毛尾田保毛男ができなくなった今のお笑いがつまらないか」と言えばそんなことはないし、保毛尾田保毛男が普通に放送されていた頃から声をあげられなかっただけで、傷ついていた人はいたのだ。

 なお特集終盤に志らく氏からは<差別はいけないんだけれども、ジェンダー警察が多すぎる>との発言もあった。○○警察とは最近でいえば「自粛警察」「マスク警察」という言葉がよく使われ、「過剰な行為」として揶揄されている。志らく氏の中ではジェンダー問題を指摘する人は単なる“気にしすぎな人”という軽い扱いなのだろうが、ジェンダー問題を”気にしなくていい”ということもひとつの特権だ。

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