「フェミニズムや人権の話ができない・拒否される」 信頼できるパートナーシップを築くための秘訣を聞いた

文=雪代すみれ
【この記事のキーワード】

自分が大切にしている価値観を共有してくれる人はいる

——お二人の関係性を見て「パートナーと人権やフェミニズムの話ができるようになりたい」と思っている人も多いと思います。どうしたらそういったパートナーと出会えると思いますか。

シオリーヌ:「私は人権やフェミニズムの話ができる人とマッチングしたい!」と表明するといいと思います! 私自身もつくしと付き合う前に「話し合いができること」以外にも、「性教育の話をわかってくれる人」「社会問題に興味がある人」がいいと周囲に話をしていて、つくしがそれに当てはまる人だとわかった上で付き合い始めたので。意見の食い違いはあっても、ジェンダーや社会問題に関心のあること自体を否定されることはなかったです。

 今の日本の価値観では、人権やフェミニズムに関心があることって、いわゆる“モテ”から外れるとされているように思うんです。だから本音ではそういう関心があっても、マッチングの場では一般受けするとされる女性像に合わせている方もいると思うのですが、私はたくさんの人にモテることよりも、たった一人のベストパートナーに巡り合える方が大事だと思っています。そのために、自分の大切にしていることは表明しておいた方が効率もいいんじゃないかなって。

——確かに、自分が大切にしている考えを後回しにして“モテ”や相手に好かれることを優先してしまうと、後から「考えが合わない!」ってことになりますよね。

シオリーヌ:私は将来的に一緒に子育てをすることも踏まえて特にその点を大事にしているんです。子どものことを考えて政治や教育、ジェンダーギャップの話をするにあたって片方は関心があって、もう片方は関心がない状態で「何を心配してるの?」「なぜそんなに怒ってるの?」といった温度差があると、一緒に子育てしていくのがしんどそうだな、と。

——ネットユーザーから「今のパートナーと話し合いができるようになりたい」といった相談を受けることはありますか。

シオリーヌ:Twitterで仲直り報告をすると「パートナーと話し合いができて羨ましい」「話し合いができる関係性になりたいのに、多分うちの人はムリ」といったリプライをいただくことはあります。でも人を変えるのってなかなか難しいなとは思います。

つくし:実践したことがあるわけではないのですが、身近な問題と関連させるのは一つの方法だと思います。お子さんの未来を考えたときに、「そういう未来であってほしくないよね」と切り出すことで、より身近に感じやすいかもしれません。

シオリーヌ:確かに、医学部の入試差別では、父親世代の人も「自分の娘が頑張っている中でこんな差別をされていたら許せない」と声をあげているのを見ました。「自分の娘や妻に置き換えないとわからないのか!」という指摘もありますが、きっかけとして結びつけたら理解しやすいかもしれないですよね。

——つくしさんは以前「自分の中にもホモソーシャルで築き上げられたミソジニー(女性蔑視)が潜んでいることがわかった」とツイートされていました。そのことを受け入れられるようになった過程についてお伺いします。

つくし:ミソジニーに気づくって「自分は当たり前に生きてきて築き上げられた価値観が、別の視点から見ると誰かが虐げられていること」に気づくことだと思うんです。最初は受け入れがたかったですし、「そうじゃない」と思いたくて反射的に拒否してしまうこともありました。でも、妻と話していくうちに冷静になって考えると、自分の中では当たり前だったけれども、「よく考えたらおかしいことなのでは?」と思うようになって。

それでもすんなり受け入れられるようになったわけではなく、「向き合いたくない」「蓋をしていたい」と思うこともありつつ、妻との対話を繰り返すなかで、少しずつ自分の中に差別的な意識があることを受け入れられるようになりました。

——パートナーや気になっている相手に「人権やフェミニズムの話を切り出すのが怖い」と思っている人もいらっしゃると思います。最後に応援のメッセージをいただけますか。

シオリーヌ:私自身、「性教育やっている人を口説きたくない」「口説き方で“女性を馬鹿にしてる”と怒られそう」「コンドームの付け方を指導されそう」などとからかわれたことはたくさんあります。なので、「意識高いって笑われるんじゃないか」「引かれるんじゃないか」って不安になる気持ちはわかります。

 一方で、つくしは私と付き合う前から私の動画を見て、「性感染症の検査は大事だ」と思って検査を受けていて、私はそれがすごく嬉しかったんです。つくしは面倒がるどころか、大事だと理解して行動に起こしてくれた。こうやって馬鹿にしないでちゃんと取り合ってくれる人と付き合いたいなって思いました。

 だから「自分が大切にしたいことを伝えたいけれども怖い」と思っている人には、「あなたが大切にしていることは何も悪いことじゃないので、それをわかってくれる人を探せばいい」と声をかけたいです。

 それから、最初からジェンダーや人権の知識や問題意識がなくても、相手が関心があると知ったときにないがしろにしない人はいると思うんです。自分が大切にしていることを一緒に考え大切にしようとしてくれる人はいると思います!

~シオリーヌさんよりお知らせ~

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