とはいえ、65歳は隠居するにはまだまだ若すぎる年齢である。その後、松本はどうするのだろうか? 前掲「週刊朝日」のインタビューでは、こんなヒントを残している。
<(編注:映画を)本当に低予算で撮りたいなと思う気持ちは、ちょっとあります。だけど、それも映画じゃなくて、スマホで撮れるんちゃうかなって思いますね>
<いろんな(発信の)やり方があるからなー。過渡期ですよね。あと2年くらいしたら、いろんなことがはっきりしてくるんじゃないですかね>
ダウンタウンと同世代で、「ライバル」として比較され続けてきたとんねるずの石橋貴明は、2018年に『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)が終了して以降一時的に低迷したが、2020年に立ち上げた公式YouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」が大当たり。いまや何度目かの黄金期を迎えつつある。
松本が最近しきりに語る「引退」に関しても、それは「芸人引退」というよりも「テレビタレント」からの引退であって、その後は、舞台なり動画配信なり、より届けたいターゲットを絞った表現を追求するということなのかもしれない。
その時は、松本が本来もっていた、お笑いコア層にウケる「サブカルチャー」的な側面が前面に押し出され、1990年代のような尖った姿を取り戻すのかもしれない。
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