ネオナチだけではない、ドイツの多様な陰謀論者 民主主義への不安に忍び込む極右の影

文=河内秀子
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一般市民までに広がる陰謀神話

 「2017年に帝国市民シーンに潜った時に出会ったのが、極右政党NPDの元党員、リューディガー・ホフマンです。彼は1990年代には難民収容所に放火したり、何度も刑務所に入っているネオナチです。彼は、ずいぶん前から連邦議事堂の前で演説をしてきましたが、当時はドイツ共和国連邦はほかの国の権力に操られているという話に耳を傾けていた人なんて、ほんのひとにぎりでした。それが、いまや1000人単位の人を前にして、しかも歓声があがる。信じられません」とギンスブルク氏。

 いま広まっている陰謀論は、ギンスブルク氏が潜入していた時とほとんど変わっていない。

ドイツで数多くのこどもたちが姿を消し、エリートたちがその罪のない子どもたちの血を飲んでいるー
シオン賢者の議定書は科学者によってしっかりと証明された理論であり、ホロコーストはなかったのだー
9・11はアメリカの捏造であるー
そして、ドイツ連邦共和国は主権国家ではなく、操られているー

 ドイツは今年、選挙イヤーを迎える。メルケル首相は任期満了で首相を退任することを表明しているため、首相候補と言われる政治家たちのアピール合戦も激しい。9月に行われる連邦議会選挙だけでなく、各州で州議会選挙も行われる。ドイツには、いまのところアメリカのトランプ元大統領に匹敵するような、陰謀論と密接な繋がりを持ち、また影響力の強い政治家はいない。しかし、コロナ禍により、民主主義への信頼度がさまざまなかたちで揺らいでいるのは確かなよう。それがどういう形で選挙に影響するのかが、今後気になるところだ。

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