【シリーズ黒人史3】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~南部再建期

文=堂本かおる
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続出した黒人議員

 黒人が参政権を得た1870年より黒人の政治家が続出した。先に書いたように南部諸州では黒人の人口比率が高く、現在でいうリベラルな白人も少数ながら存在したためだ。

 まず、1870年にハイラム・レヴェルズ(ミシシッピ州)が黒人として初の上院議員に、ジョセフ・レイニー(サウス・カロライナ州)が初の下院議員となった。以後、南部再建期が終わる1877年までに上院計2名、下院計14名が当選している。半数以上が元奴隷であった。黒人は地方議会議員、判事、保安官にもなり、黒人議員が白人議員の数を上回った地方議会もあった。

 なお、奴隷解放宣言を行なったリンカーン大統領は共和党であり、南部再建期に当選した黒人議員たちも共和党だった。共和党と民主党、両党の政策が変化し、現在のようにアフリカン・アメリカンの大多数やリベラルな白人が民主党支持となったのは1930年代以降のことである。

 ちなみに上院における黒人議員の当選は、南部再建期の2人の次は公民権運動時代の1967年と、実に92年後となっている。その次は26年後(1993年)、黒人女性として初のキャロル・モーズリー・ブラウンだった。その次が12年後(2005年)のバラク・オバマである。上院は各州2名ずつ計100名から構成されるが、現在、黒人議員は3名のみ。唯一の女性であったカマラ・ハリスが副大統領となったため、女性はゼロとなっている。

南部再建期の終わり〜ジム・クロウ法の始まり

 黒人政治家の登場は人々に希望を与えたが、黒人の自由化を断固として認めない元南軍兵の白人至上主義者は奴隷制の終焉と同時にKKK(クー・クラックス・クラン)を立ち上げていた。黒人への容赦ない苛烈な差別、虐待、リンチ殺害が行なわれ、前述のアンドリュー・ジョンソンに次いで大統領となっていたユリシス・グラントはKKKによる黒人社会へのテロ行為を厳しく罰するクー・クラックス法を制定しなければならなかった。

【シリーズ黒人史】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~南部再建期の画像5

北部発行の政治雑誌の表紙。白人至上主義団体KKKとWhite Leagueが手を結び、黒人一家を恐怖に陥れている。背後にリンチ遺体、黒人学校の焼き討ちが描かれ、「奴隷制より酷い」とある。(wikipediaより)

 奴隷解放後の黒人の人権をめぐって法の攻防が続いた12年間の南部再建期は1877年に終了する。前年の大統領選でラザフォード・ヘイズ(共和党)とサミュエル・ティルデン(民主党)が対峙し、結果が僅差であったことから大いに揉めた。解決策として非公開の談合が持たれ、南北戦争後も南部に駐留していた連邦軍を引き上げることを条件に民主党が引き、翌年にラザフォードが第19代大統領に就任した。

 これにより黒人の人権を模索した南部再建期は終了し、黒人を厳しく差別する「ジム・クロウ法」の時代に突入する。以後、公民権法が制定される1964年まで、90年近くにわたってジム・クロウ法が存続することとなる。(次回に続く)
(堂本かおる)

【シリーズ黒人史2】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~リンチ

 アメリカ黒人史シリーズ初回の『奴隷制』では、奴隷は奴隷主によって激しく鞭打たれたと書いた。鞭打ちが行われた理由は、奴隷としての労働の質や量が十分でなかった…

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【シリーズ黒人史3】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~南部再建期の画像2 ウェジー 2021.02.25

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