リンガーハット看板メニュー1円値上げの背景にある危機的状況 コロナ禍の決断は吉と出るか凶と出るか

文=A4studio
【この記事のキーワード】

リンガーハットにとって大きな賭けとなった理由

 ではサイゼリヤは一足早く改定に踏み切ったが、その効果や反響はどうなのだろうか。

 「価格改定をしたことで、やはりオペレーションの時間は短縮されたようですね。さらに、店員が勘定を間違えるというミスも減るでしょうし、心理的な負担も減っているようです。無駄な時間を省くことができ、トータルで時間の短縮に繋がっていると思います。

 今後、端数をなくす価格改定は他店も追随していく可能性は高いでしょう。ただ、課題として、税抜表示にしているお店はまず総額表示に変えることが先決になります。そうなると、価格を上げる以前に税抜表示から税込表示に変えることが客にどう捉えられるか――そこが税抜表示をしている外食チェーンにとって最大の懸念点になるでしょう。

 かつて、消費税の増税で外食チェーンが価格改定を余儀なくされた際にも、やはり騒ぐ消費者というのは一定数いました。ですから外食チェーンとしては、1円でも価格が上がることで客が悪い反応を示すことを恐れて、簡単に価格改定には踏み切れないという事情もあります」(中井氏)

 なるほど、先ほどリンガーハットが“大きな賭けに出た”と表現していたのはそのためか。

 「とはいえ、サイゼリヤは価格改定してからも変わらず人気を維持していますし、サイゼリヤの社長も“外食業界において、この改定は間違いなく効果的”とはっきり自信を持って断言しています。ですから繰り返しになりますが、将来的には他チェーンも端数をゼロにする価格改定の波に乗ることは十分あり得るでしょう」(中井氏)

 消費者にとってもパッと見でキリのいい総額表示が一般的になったほうが、わかりやすくていいような気もする。さらに今回の価格改定について、中井氏は思いを語る。

 「目先のことではなくて、1、2年後、つまりアフターコロナを見据えた決断が、後の命運を分けることになるかもしれません。その決断が最終的に吉と出るかどうかはわかりませんが、企業が未来に向けてどういう姿を描いていくかは大切なこと。今回の価格改定のような積極的な行動が、後々に“決断してよかった”と思えるような結果になることを願っています」(中井氏)

 特にリンガーハットのような背水の陣で挑んだ価格改定は、チェーン店の存続の危機がかかっているだろう。なんとしても、ピンチをチャンスに変えていってほしいものだ。

(文=二階堂銀河/A4studio)

1 2

「リンガーハット看板メニュー1円値上げの背景にある危機的状況 コロナ禍の決断は吉と出るか凶と出るか」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。