
山内さんとティティー(2012年)/社会福祉法人日本介助犬協会提供写真
肢体不自由者の日常生活をサポートする介助犬の育成を行う社会福祉法人日本介助犬協会(以下、協会)は、新型コロナウイルスにより中断していた合同訓練を、感染対策を取った上で再開したことを明らかにしました。
介助犬として認定を受けるには、ペアとなる肢体不自由者との合同訓練が必須となりますが、基礎疾患を有することの多い肢体不自由者にとって、コロナ禍に不特定多数の人が集まる場に出かけることには大きなリスクが伴うため、協会は、介助犬貸与に向けての合同訓練を2020年春より一旦全て中断していました。今回、感染対策を十分に行った上での訓練体制について検討を重ね、約1年ぶりの合同訓練再開となりました。
協会では、介助犬は1歳から開始する訓練を経て適性を見極め、2歳頃から介助犬として活動し、10歳頃を引退の目安としています。
この度、愛知県豊田市にお住まいの山内稔さんの介助犬・ティティー(メス、10歳)が3月28日に引退するにあたり、山内さんと新たなペアとなるグラディス(メス、3歳)との合同訓練を開始しました。
2000年にバイクを運転中に転倒、脊髄損傷となり車いすで生活を送る山内さんは、事故以降、あまり外出もせず塞ぎがちでしたが、2009年に愛知県の福祉機器展で介助犬について知り、候補犬・ティティーとの合同訓練を経て、2012年6月には介助犬使用者と介助犬として認定を受けました。
落としたものを拾う、携帯電話を探して持ってくるなど、ティティーが日常生活動作をサポートしてくれることにより安心感が得られ、飛行機や新幹線に乗って旅行に出かけたり、趣味の絵画を再開したり、様々なことに意欲的になったそうです。
人生を大きく変えたティティーの引退が近づく中、山内さんは2頭目の介助犬との生活を決意。愛知県長久手市内の「介助犬訓練センター~シンシアの丘~」では通常、障害者が訓練センターに寝泊りをしながら合同訓練を進め、その後、在宅での訓練に移行しますが、現在のコロナ禍の状況を踏まえ、ティティー引退後の本格的な合同訓練のプレ段階として、在宅や屋外での訓練を行っています。山内さんとグラディスの認定は5月に予定されています。
▼社会福祉法人日本介助犬協会
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