2月15日以降、東京入管の職員と被収容者が次々と新型コロナウィルスに感染。当時105人いた男性のうち、半分以上が感染してしまった(3月3日時点で58名)。まだまだ広がりを見せる恐れがある。
辛うじて女性被収容者たちは陰性であったが、クラスター化した建物の中での生活は苦痛でしかなかった。弁護士や支援団体は、陰性の人はできるだけ解放するように要請していた。
ところが3月3日、女性被収容者25名が、東京入管から横浜入管に移送されることになった。突然の知らせに女性たちは怒りだし、パニックを起こす者もいた。
たとえ移送したところで、25人もいればまた東京入管と同じようにクラスター化する可能性も高い。解放すればいいのに、なぜ感染のリスクをおかしてまで収容し続けるのだろうか。
名古屋入管での死
3月6日、名古屋入管でスリランカ人の30代女性が死亡した。彼女は2020年8月から収容されていた。女性の受け入れ先として、自分の住居に住まわす予定だった面会ボランティアの女性に話を聞いてみた。
12月くらいまではまだ元気でした。年が明けて1月の初めに面会に行ったときにはもう車イスで、食事を受け付けることができず、嘔吐するためバケツを持っている状態でした。
面会のたびに衰弱していく彼女が心配で、入管職員に「救急車を呼んでほしい、点滴を打ってほしい、このままだと死んでしまう」と繰り返し頼んだんです。けれど職員は「ちゃんと見てますから、大丈夫です」と答えるだけでした。
最後に面会したのは3月3日のひな祭りでした。最終的には体重が20キロも落ちてしまい、歩くこともできなくなって、トイレに行くときも這いながらだったと本人から聞きました。
何度も吐くので口角のまわりはただれていました。アクリル板越しに手を合わせたのですが、指もうまく動かない様子で……。そして3月6日に亡くなってしまいました。
名古屋入管では2020年10月にもインドネシア人男性が急死しているが、法務省はいまだ死因を発表していない。
日本の入管収容制度における長期収容や、難民認定率の低さは、国連からも問題を再三指摘されている。入管法改正にあたっては、国際社会から指摘されている問題点と真摯に向き合い、人権擁護の観点から解決に導くものでなければならない。
(織田朝日)
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