容疑者を擁護する警察と「人種に基づいた犯行ではない」という主張や報道
作家のシャーロット・クライマー氏はツイッターで下記のように発言している。
「ロバート・ロングは、アジア・太平洋諸国系米国人(AAPI)コミュニティに対して白人至上主義のテロ行為を行った。
彼は、テロリストだ。そう正直に呼ぶべきだ。」
Robert Long committed an act of white supremacist terrorism against the AAPI community. He is a terrorist. Be honest in calling this what it is.
— Charlotte Clymer 🏳️🌈 (@cmclymer) March 17, 2021
16日に発生したアトランタの襲撃事件はそれ自体が非常に残酷だった上に、警察の対応、そしてメディアの報道の仕方がさらに畳み掛けるように酷いとして、大いに反発を招いた。
犯人を逮捕したチェロキー郡保安官事務所は事件の翌日に記者会見を開き、警察官自身が捜査の「ごく初期段階」において、犯人が人種差別を動機としていた可能性があるという考えを真っ向から否定した。
警察官は「彼(犯罪者)は人種差別が原因ではないと主張している」と述べた上で、「彼はどうやら問題を抱えており、本人はそれをセックス依存症と考えています…そして、(犯行を行った場所は彼を誘惑するような)場所を排除したかったのです」と発言した。
さらに、会見を開いた警察官は犯人に同情的になり、「昨日は彼にとって本当に悪い日だったので、このようなことをしたのでしょう」と、まるで犯人を擁護するような立場を取ったのだ。
この発言は、白人男性による犯罪をどうしても「人種差別に基づいたヘイトクライム」だと警察自身が認めることを拒否するということだ。被害者のみならずアジア系アメリカ人のコミュニティ全体を侮辱するような行動をとったとして、アメリカ中に激震が走っている。
作家のブリジッド・リード氏はこの発言に対して以下のように述べている。
「もう一度考えてみよう。犯人は、アジア人が多い業界の特定の企業で働く人たちを「排除」しようとした。彼の被害者はアジア系の女性が多かった。それなのに、犯人は「人種的動機」ではないと言い、法執行機関もその主張を無批判に繰り返していたのだ。今回の襲撃が「人種的動機によるものではない」ことを示すのではなく、この偽道徳的なレトリックは正反対のことをしている。彼女たちは明らかに人種的な理由で狙われたのです。」
さらに、BuzzFeedはこのベイカー警察官が過去にFacebookで中国を非難する人種差別的なTシャツをシェアしていたと報じている。ベイカー氏発言は、ネット上で多くの女性によって「女性の誘惑を暴力の言い訳にしている」と受け止められ、広く批判された。
ロイター通信も、当初は「人種差別的なヘイトではなく、セックス依存症がジョージア州スパの襲撃の原因である可能性」という見出しをつけていた。その後、「ジョージア州スパでの銃撃事件の動機は人種的なものではないかもしれないが、アジア系アメリカ人を恐れさせている」に変更したが、それはそれでアジア系アメリカ人がまるで過剰反応しているかのような描写でもあり、問題視されている(詳細は「intelligencer」)。