【シリーズ黒人史4】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~ジム・クロウ法

文=堂本かおる
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【シリーズ黒人史】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~ジム・クロウ法の画像1

 本シリーズ前回(Part 3)の『南部再建期』とは、奴隷制終了後に黒人にも選挙権が与えられ、黒人の議員が続々と誕生した時期を指す。その南部再建期はわずか12年で幕を閉じ、以後、白人と黒人の人種隔離を徹底する「ジム・クロウ法」の時代に突入した。

【シリーズ黒人史1】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~奴隷制

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【シリーズ黒人史4】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~ジム・クロウ法の画像2 ウェジー 2021.02.11

【シリーズ黒人史2】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~リンチ

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【シリーズ黒人史4】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~ジム・クロウ法の画像2 ウェジー 2021.02.25

【シリーズ黒人史3】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~南部再建期

 アメリカ黒人史において、日本で最も知られていないのは「南部再建期 Reconstruction Era」と呼ばれる時期ではないだろうか。奴隷制が終了した直…

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【シリーズ黒人史4】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~ジム・クロウ法の画像2 ウェジー 2021.03.11

 ジム・クロウ法と言えば、水飲み場からバスの座席、学校に至るまでが「白人専用(White only)」と、「カラード(Colored Only / 黒人を含む有色人種)」の専用に分けられたことで知られる。当時の最高裁は「分離すれども平等」と裁定したが、衣食住から教育や職業に至るまで、黒人にあてがわれるものは何もかもが白人のそれに比べ、極めて粗末だった。

【シリーズ黒人史】Black Lives Matterへと続くアメリカ黒人の歴史~ジム・クロウ法の画像2

カラード(黒人、有色人種)専用の水飲み場。1939年、オクラホマ州(wikipediaより)

 ジム・クロウ法はアフリカン・アメリカンの経済的、社会的な地位向上をほぼ不可能にしたが、同法のうち黒人社会に最も大きなダメージを与えたのは「投票権」の抑圧だった。日常生活のすべてを肌の色で分離し、かつ片側(黒人)の人権を蹂躙する不条理な法律を撤廃しようにも、黒人は政治家としての立候補はおろか投票すら叶わなかったからだ。結果的にジム・クロウ法は1964年の公民権法制定まで、実に90年近くにわたって続くこととなった。

ジム・クロウ法:制定の経緯

 奴隷解放宣言(1863年)を行なったリンカーン大統領を擁していたのは共和党政権であり、奴隷制を敷いていた南部諸州は強固な民主党の地盤であった。南北戦争終了(1865年)の後も南部の抵抗を抑える目的で連邦軍は南部に駐留していたが、民主党は徐々に勢力を取り戻し、連邦軍の南部撤退(1877年)を実現させた。これにより南部再建期は終了した。

 南部再建期に憲法修正第13条(奴隷制終了)、第14条(黒人に市民権)、第15条(黒人に参政権)が制定されていたが、南部諸州は連邦軍の撤退直前より黒人の権利を抑圧する州法を次々と打ち立てていった。法の詳細は州によって異なるが、前述のように日常生活のすべての面での人種隔離を目的とするもので、これらの法を総称してジム・クロウ法と呼んだ。

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