混迷を極めるコロナ禍の国際経済。インフレ、スタグフレーション、デフレが同時進行…日本は回復出遅れが目立つ

文=斎藤満
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 中国では、これまで的確な予想をしてきたと評価の高い著名エコノミストRen Zeping氏の「スタグフレーションがやってくる」というレポートが話題を呼び、中国国内のネット上で広く拡散しています。スタグフレーションとは不況の中でもインフレが同時に進行する厄介な経済を指しているので、中国政府も神経をとがらせています。

 昨年、中国経済はいち早くコロナ禍を脱し、経済も急回復したのですが、今年になってまた減速を見せています。コロナ感染者が出て部分的な規制強化に出たこともありますが、それ以外にも理由があります。

 中国の債務はすでに膨大になり、国有企業でも社債の償還ができなくて債務不履行となる事案が増えています。政府としても米金利高を見ているだけに、多少景気の負担になっても新規融資を抑制し、債務の削減を進めざるを得なくなっています。

 回復ペースが減速しているところへ、原油や国際商品価格の上昇が中国経済のコスト負担を高めています。中国は世界最大の資源輸入国で、特に原油、鉄、銅の輸入が大きくなっています。その国際商品相場が今年になって2割も上昇し、そのコストを価格転嫁するとそれだけ物価が上がります。景気が減速しても、この輸入コスト高の物価上昇が「スタグフレーション」をもたらします。

 原油などの輸入コスト高が国内の需要を奪い、景気を悪化させるのです。かつての石油ショックの際も、世界中がスタグフレーションに苦しんだことがあります。

値上げどころでない日本

 アメリカ・中国に対して、日本はまた異なる動きをしています。前述のように日本も大規模経済対策を打ったのですが、これが機能していません。その多くが企業向けの給付金、助成金、無利子無担保融資の形であり、個人には10万円の特別給付金が一度実施されただけで、あとは「Go To」キャンペーンを利用した人が潤った程度だからです。

 その「Go To」キャンペーンも停止され、2度目の緊急事態宣言が発出され、この1-3月の日本のGDPはまたマイナス成長が見込まれています。

 そのなかで原油など資源価格が上がり、この4月からは電気・ガスの料金が上がりますが、個人の需要が弱いために、他の商品では価格転嫁ができません。ユニクロのように、従来の税抜き価格を税込み価格に読み替えるところもあり、これは実質9%の値下げになります。

 需要が弱いところに表立って価格転嫁すれば売り上げが落ちるとの懸念が強く、パンやお菓子のように、わからないように小さくしたり、こっそり内容量を減らして見えない実質値上げをしているところもあります。その一方で通信料金や衣料品などでは値下げ圧力が強まっています。

 これまでの世界的な低インフレ、低金利が変わり始めました。海外に目を向けると、投資の機会は広がりますが、日本の出遅れ感が目立ちます。昭和の名経営者・石坂泰三氏が存命ならば、現政権に「もう、きみには頼まない」と言われたのではないでしょうか。

(斎藤満)

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