SHELLYが差別的なイジりに加担しないために実践していること 「笑わない」「だとしてもいいんですけどね」

文=雪代すみれ
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SHELLYのYouTubeチャンネルより

 3月17日、タレントのSHELLYが「バラエティ番組で意識していること」について語ったYouTube動画を公開した。

 SHELLYがバラエティ番組に対して疑問に感じているのは、LGBTや体型や容姿など、本人が変えられないことへのイジりだという。彼女は「バラエティでのイジりやおふざけが、学校や社会で真似されたり普通になったりすることがあると思う」と指摘していた。

 SHELLYは若い頃から“気になるイジり”があることに気づいていたものの、イジられている人がすごく嫌がっているわけでもないため、自分が代わりに注意するのも変だと思い、悩んでいた時期があったという。

 だが、20代後半の頃からは、そういったイジりが起きたときに「笑わない」という方法をとっているそうだ。

 例えば少し前のバラエティ番組では、優しそうな雰囲気の男性に対し「お前こっち(ゲイ)なんじゃないの」といったイジりが当たり前のように行われていた。この発言を受けて周囲と一緒に笑うことは、こうした“気になるイジり”に加担する気がしたため、テレビにリアクションを映されないのは覚悟のうえで「笑わない」ようにしたという。

 「笑わない」ことを続けているうちにSHELLYの心の中で自信が芽生えてきた。それからは、イジりが終わった後に、編集するスタッフへの配慮で一拍置きつつ、<だとしてもいいんですけどね>と言うようになったという。

 先ほどの例でいえば、「お前こっちなんじゃないの」といったイジりがあった後に、SHELLYが「だとしてもいいんですけどね」と言うことで、放送では使われないものの、スタジオに「えっ?」と、発言について考えざるを得ないような空気が流れる。

 そうした場をつくることにより、今回は“気になるイジり”をしていた人が、別の機会に“男性らしくない男性”や“女性らしくない女性”などイメージと違う人が出てきてその点をネタにしようとしたときに、SHELLYのつくった空気を思い出し、「やめとこう」となるかもしれない。そうした思いで「いちいち言うようにしている」そうだ。

 なお、「だとしてもいいんですけどね」運動を続けていたところ、観覧席から拍手が起きたことがあったそうで、SHELLYは<あの時はすごい嬉しかったんですよね>と振り返っている。

 SHELLYはバラエティでのイジりを否定しているが、決してバラエティが嫌いなわけではない。「大好きなバラエティ番組たちをもっと面白く、もっとみんなが笑える番組にしたい」という思いから、<小さな小さな小石を投げ続けている>そうだ。

 SHELLYのやり方を「手ぬるい」と評価する意見もあるかもしれない。しかし、面と向かって糾弾したりせず、やんわりと気づかせるような手法をとっているのには理由がある。偏見や差別、ジェンダーやルッキズムなどの問題について、わかっていない人を無視するのは簡単で、そうしたくなる気持ちもわかるが、それでは世の中は良くならないからだ。

 SHELLYはこのように語っていた。

<そのルールの中で生きてきた人たちにとっては今のルール(考え方)がそんなにすぐ受け入れられない>
<私たちが先に気づいちゃっただけなんだよね>
<気づいていない人たちを切り捨てちゃうと、ただただみんな分断が起きてすごい嫌な世の中になっていく気がするのね>

 「私は笑わないよ?」「そのイジりって面白いのかな?」「嫌がっている人がいるかもね」といった小石を投げ、少しずつ気づくきっかけを作り、<その人が自分で「こういうの言ってもみんな笑わないから言うのやめよう」って思うのが一番いいのかなって私は思う>と理想的なアップデートの過程について言及した。

 この動画のコメント欄には「素敵な考え方」「SHELLYさんが言うようなイジりが嫌でバラエティを見ないので、テレビに出ている人がそういう意識でいてくれるのは嬉しい」と応援する声や、「自分自身も笑わないでくれた人がいたことで救われたことがある」「バラエティの風潮が変わってきたので、学校の先生がLGBTイジりをしたときに誰一人笑いませんでした」といった経験を伝えるコメントも寄せられている。

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