SHELLYが差別的なイジりに加担しないために実践していること 「笑わない」「だとしてもいいんですけどね」

文=雪代すみれ
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“小石”は社会に届いている

 SHELLYのほかにも、小石を投げる芸能人は増えてきている。

 今年1月のBusiness insider Japanのインタビューにて、SHELLYは<さっしー(指原莉乃)もすごく賢いんですよ。みんな気づかないけれど、彼女もずっと、小石を投げ続けている>と話している。

 また、AKB48の柏木由紀は昨年8月に公開したYouTube動画の中で「ええ身体しとるなぁ」「僕は裸が見たい」といったセクハラコメントに<異性の友だち、クラスメイト、職場の人に言えないことは書かないでおこうね。自分の親にも言えることを書こう>と注意を促した。

 小石を投げているのは女性だけではない。昨年7月放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)では、明石家さんまが女性出演者にセクハラ発言をした際に、チョコレートプラネットの松尾駿が<さんまさんの女性を見る見方がすごく下品ですよ>と指摘する場面も見られた。

 女性芸人を「ブス」「デブ」「非モテ」などとイジるのは定番であったが、最近ではそういったイジリに疑問を呈する女性芸人も。

 フォーリンラブのバービーは、以前出演したラジオ番組で、自身は芸人の男社会の中でそれなりに適応してきたものの、ファンからのコメントを機に容姿イジりについて考え直したと話している。

 ほかにも、今年1月放送の『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)では、ぼる塾・あんりが「女芸人=恋愛が上手くいっていない」と決めつけられることや、ガンバレル―ヤ・よしこが「女芸人はイケメンなら誰でも好き」という扱いをされることへの不満を述べた。

 ボディポジティブな発信を繰り返しているお笑いタレントの渡辺直美は、2018年にGUCCIの洋服やアイテムを身につけた写真が公開された際、「クソデブ」といった体型を批判するコメントがついたが、自身のInstagramで<どんな体型でもファッションを楽しめる素敵な時代になりました><みんな私の魅力にびっくりした様子?><まだ2%しか出してないのに痺れちゃったのね><まだまだこれからよ>といったポジティブなメッセージを発し、反響を呼んだ。

 今月17日には「文春オンライン」にて、オリンピックの開会式演出の総合統括を務める佐々木宏氏が、渡辺直美をブタに仕立てた演出を提案し、関係者から批判を受け撤回していたことが判明。大きな批判を受けている。18日に東京五輪・パラリンピック組織委員会のホームページで公表された<週刊誌報道に関する橋本会長コメント>によると、佐々木氏は辞意を表明し、組織委員会も受け入れることにしたという。

 数年前には女性芸人の容姿を揶揄する表現は珍しくなかったが、こうした表現に不快感を示す人は増えている。一人ひとりが投げてきた小石の積み重ねが、社会の価値観のアップデートに繋がっているのだろう。

 SHELLYの動画には「“笑わないこと”を実践してみようと思う」と宣言するコメントも。日頃、立場的・状況的にはっきりと「それは差別ですよ」「嫌な思いしている人がいます」と伝えるのが難しい場面も多い。「笑わない」は今日から私たちが真似できる一つの手段であり、少しずつ社会の価値観を変容させていく一歩になるだろう。

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