渡辺直美の“オリンピッグ”演出に「面白くない」の声多数 変化するお笑い・バラエティ番組の文化

文=wezzy編集部
【この記事のキーワード】
渡辺直美のオリンピッグ演出に「面白くない」の声多数 変化するお笑い・バラエティ番組の文化の画像1

Getty Imagesより

 東京五輪・パラリンピックの開閉会式の企画、演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、タレントの渡辺直美を“ブタ”に変身させる演出を提案していたとして、批判が殺到した。

 佐々木氏は電通出身のクリエーターで、ソフトバンクの「白戸家シリーズ」、コーヒー飲料・BOSSの「宇宙人ジョーンズシリーズ」などを手掛けた。

 「週刊文春」(文藝春秋)2021年3月25日号によると、佐々木氏は渡辺をブタに見立てた “オリンピッグ”という演出を、ストーリー制作チームのメンバーが参加するLINEグループで提案したという。しかし、ひとりの女性クリエーターが、容姿をブタにたとえるのは気分が良くないと反対したことを皮切りに、他の男性クリエーターも<眩暈がするほどヤバイ>など反論。“オリンピッグ”の演出は白紙となったそうだ。

 この報道を受け、佐々木氏は発言を事実だと認めたうえで、クリエーティブディレクターを辞任。謝罪文を発表した。以下はその一部である。

<渡辺直美さんに対しては、大変な侮辱となる私の発案、発言となること。これは取り返しのつかないことです。心から反省して、ご本人、そして、このような内容でご不快になられた方々に、心からお詫び申し上げます>

 一方、渡辺も吉本興業のホームページを通じてコメントを発表。“オリンピッグ”の演出は寝耳に水だったとしながら、<表に出る立場の渡辺直美として、体が大きいと言われる事も事実ですし、見た目を揶揄されることも重々理解した上でお仕事をさせていただいております。実際、私自身はこの体型で幸せです。なので今まで通り、太っている事だけにこだわらず『渡辺直美』として表現していきたい所存でございます>との意志を表明した。

近藤春菜の「シュレック」いじりが炎上

 佐々木宏氏は渡辺直美をブタに見立てることを“面白い”と感じて企画を出したのだろうが、今回の報道に対してネット上では、「酷すぎる」「ネタだとしても面白くない」など、佐々木氏の思惑とは真逆の反応で溢れかえっている。

 一昔前までは、デブ・ブス・ハゲなどと容姿をいじることは笑える“ネタ”として扱われてきたが、最近のテレビ番組ではそのような場面を見かけることも少なくなった。ネタにして笑いをとろうとする演出があったとしても、そうした安易な笑いを求めていない視聴者も多く、場合によっては炎上するようにもなっている。

 たとえば、今年2月2日の『スッキリ』(日本テレビ系)にK-POPグループ・MAMAMOOがゲスト出演した時のこと。メンバー自己紹介のパートで絵を描くのが得意なフィインがMC・近藤春菜の似顔絵を描いたが、そこに描かれていたのは近藤ではなく、「シュレック」であった。これを受けて近藤は<フィインさんありがとう。シュレックじゃねえか!>とツッコミを入れた。

 近藤の容姿をいじる一連の流れはお約束のくだりだが、MAMAMOOはルッキズムと戦ってきたグループだ。そのため、MAMAMOOにルッキズムによる笑いをとらせた番組に、視聴者からは批判が殺到した。

 同じく2月には、フジテレビコンテンツストアで数年前から配信されていた坂上忍氏の着ボイスが不適切だとして問題になっている。着ボイスの内容は<ブスは嫌い! ブスからの電話はとりませ~ん><ブース! ブース! ブース!><好きなタイプは美人! 嫌いなタイプはブス…>といったものであった。数年前には面白いとされていたネタも、今はもう許されない。

1 2

「渡辺直美の“オリンピッグ”演出に「面白くない」の声多数 変化するお笑い・バラエティ番組の文化」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。